数日前に行った筆記テストは、中途半端に丸をもらい、これまた妥当な点数で、私の元へと帰って来た。

64…まあ自分的にはそこそこ満足。赤点とらなきゃそれでよし。



うんうんと一人頷き、私はテスト用紙を鞄へとしまった。
先生の話によると、今回は上位20名が成績優秀者として校内掲示板に名前が載るらしい。私の名前は100%無いだろうけど、後で友達と一緒に見に行こうっと。






私の通っている学校は軍の士官学校で、名前を王牙学園という。


自分で言うのもなんだが、王牙学園は大半がエリートかつ国の要人の子供だったりする。私なんかがここにいるのはズバリ奇跡でミラクルなことなのです。
まあ一応おとんは軍に所属しとるけど……きっと倍率低かったのね。


しかし私がここに入った理由は、別に将来軍のトップになりてぇとか、変な野心を持っているからでもなく、仲の良い幼なじみや友人が王牙への入学を志願したからである。

いわば『あ、じゃああたしもそこ一緒行く!』的な感じだ。マジで落ちてたらどうすんだよ過去の私。まあ合格したからいいけどね。



なんやかんやで念願の王牙入学を果たした私は、王牙学園の生徒であるということに少しの誇りを持っていた。だって、将来的に就職活動する際に役立つ。だから今はこの"王牙学園の卒業実績を手に入れる"ことが第一の目標だった。






*






「なんじゃそりゃ!!」

「ごめんネフラン☆ということだから早速行って来る!!」



幼稚園から仲の良い友達は、そう言って走り去ってしまった。



「……。」



ということで、私はこの学園で彼女に次いで二番目位に仲の良い友人の所に向かった。



「ザゴメル君ザゴメル君。」

「ん?フラン?」

「テスト順位見に行こうよ、まだ見てないでしょう?」



ほっ、と勢いをつけ、ザゴメル君の肩に乗る。

ザゴメル君は王牙学園に入った時に知り合った。

最初は、何だこの巨人さんは…。とか、第一印象はぶっちゃけおっかねぇの一言だったのだが、隣の席になったのをきっかけに仲良くなった。見た目と反して、ザゴメル君はかなり良い人だった。
今もおんなじクラスで、私は大分お世話になっている。



「フランはどうだったんだ?」

「普通だよ、いつも通り。平均点よりちょい下ってとこ。」



ザゴメル君の右肩に私が乗っている光景には、他の皆も見慣れたもんだ。

こないだ同じクラスのエスカバ君に、自分で歩かねぇと太るぞだの言われたので、一発鉄拳を入れてやろうとしたのだが、軽々と止められてしまった。あんの武闘派め。






*






掲示板の前には、既に沢山の人だかりが出来ていた。

私達は人を掻き分けることもなく、皆よりも少し高い位置から掲示板を見下ろした。



「フラン、見えるか?」

「うん。ザゴメル君今回3番だよ、すごいなあ。」

「そうか?」

「うん。だって私なんか多分一生3桁だもの。」



4番はエスカバ君だった。
ザゴメル君の成績はエスカバ君といいとこ勝負で、ちょくちょくこの二人の順位は入れ替わる。ちなみに私は未だに2ケタが見えない順位にいる。ズバリ一桁など夢のまた夢でしょう状態なのだ。



「1番と2番はやっぱりバダップさんとミストレーネって人なんだね。」

「みたいだな。」



エスカバ君の忠告だからではなく、少し離れた所にゲボー君とブボー君を見つけたので、私はザゴメル君の肩から降りた。



「フラン!」
「フラン!!」



あっちもどうやら私達に気付いたらしく、彼等は半端ないジャンプ力で私に飛び付いて来た。



「おっとっと…やあ2人とも、テストの結果はどうでしたかな?」

「良いに決まってるだろ!」
「決まってるだろ!!」

「ほほぅ、それは何よりだねえ。」



体格はこんなに違うのに、彼らの脳の出来は私より素晴らしいのだ。つか、私の得意なことってなんだろ、長所ってどこなのよ??まったく神様、私の何がいけなかったというのですか。

双子は私から離れると、さっきまで私が座っていたザゴメル君の肩によじ登っていった。



「やっぱり10番以下は見えなかったからさ、ちょっと気になるから見て来るよ。」

「ああ、分かった。」



しかし私はそこでとあることに気が付いた。

そういえば今お昼休みじゃないか。







まぁいたって普通な私

どちらかというとダメな方ですけどね。


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