『消えた女と知らない男』
2016/09/09 16:53
アブラクサス短編『消えた女と知らない男』について少々。


読み返してみたらなかなかつまらなくて驚きましたが、自分の中ではわりと好きです。


アブラクサスのキャラが違う、という点に関しては割愛させていただきます。


消えた女、というのは夢主のことなのですが、知らない男というのは二通りの捉え方ができるかなとおもっています。


ひとつめは、夢主の存在やアブラクサスが夢主と暮らしていたことを知らないルシウス、という意味。ふたつめは、日記の中のアブラクサスは、ルシウスの知る父親とは異なり、ルシウスにとってはまるで知らない男のようであるという意味です。


タイトルについてはどうでもいいんですけどね。あんまり深く考えないでタイトルをつけているので。



夢主はあのページを最後に日記をつけていないんです。自分でもはっきりは決めてないですが、元の世界に帰ったんだと考えています。


アブラクサスは夢主のノートをこっそり引き出しにしまっているんです。それが思い出としてなのか死に際まで彼女を好きだったからなのかは分かりませんが。


アブラクサスの死後に遺品整理をしていたルシウスがノートを見つけるわけなんですけど、ノートを読む限り、そこにいるのはルシウスの知ってるアブラクサスではないんです。


ルシウスの知る父親は、冷酷で残忍で、いつだって貴族らしい振る舞いを忘れない男でした。


小説の中ではちょっと分かりづらいんですが、私の中では、アブラクサスは、彼なりに大切に思っていた夢主が元の世界に戻ってしまったことにより殻に閉じこもって元来の明るくちゃらついた性格ではなくなってしまったんだと思っています。だから夢主のアブラクサスのイメージも、あんまり間違ってなかったんだよっていうお話でした。



できたらこの後の逆トリのお話も書きたいところです。しかし逆トリについてはリドル君/ヴォルデモート卿で長編か中編を書きたいという気持ちもあるので迷いどころです。

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