小説 | ナノ
なんでも馬鹿正直に物事を言う奴が私は大嫌いだ。大が付くほど嫌い。なんでも正直だったらなんて許されるもんじゃないし、言っていいことと悪いことがあるだろう。空気を読め。 大体そういう奴は人間と関わるのが苦手で接し方がわからない、典型的なコミュニケーション障害もどき。自分から行けば直る話なのに直す努力もまったくしない、一クラスに三人は居るタイプだ。 なぜ今私がこんなに怒っているかというと、まぁこいつのせいである。 「…あんた、名前は?」 目の前にいる、見た目からしてやる気、覇気がなく、どうみても頼りなさそうな顔をした少年。弱々しいその軽めの猫背をぶっ叩いて治したくなるぐらいには、頼りない。 クラスの人と必要最低限話したことがないこいつは学校中のみんなに怖がられている。し、嫌われかけている。だって見るからに地味でコミュ障で友達なんていらないと思ってそうだから。ただあのトウジとケンスケは少しだけ会話したらしい。トウジに関しては、まぁ殴ったみたいだけど。 名前を教えてと、聞いただけで私に対してなのか怯えている目を向ける青臭い少年。本当にあの変な化け物から人類を守るロボットのパイロットなのか。 「名前、教えてよ」 「え…、あ、あの」 「名前はっつってんの!」 「あ、シンジ、…碇シンジです…?」 語尾にはハテナマーク。自分の名前もわからないのか。そんな目で見ないでほしい。碇シンジ、名前は普通なのにこいつのせいで名前さえ弱々しく感じる。どうしてだろう。苛立たしいったらありゃしない。 「ねぇ、シンジ君さぁ」 「…はい」 「あんた友達作らないの?」 「…えっ、」 「と・も・だ・ち、作らないの?あんた」 まぁ確かにいきなり物事を言う私もおかしいとは思う。けど転校生だからって話しかけもせずに自分は孤独で可哀想な奴で悲劇のヒロインならぬヒーローぶってるのは気にくわない。波状してるけど、こいつがただ気にくわない。苛立つ。 「そ、そんなの、君には関係ないだろ!」 「クラスメイトだから気になるのよ、いっつも一人でいて、たまーにこっちをチラ見して。本当は友達が欲しいんじゃないの?あんた」 「…それは、な、なんで君が口出しするんだよ!僕のことなんか知らないくせに!」
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