やさしく微笑んで彼は言った。
「初恋は刃のように美しいんだよ。だから、きみの初恋も美しく煌めいて、真っ白なシーツを真っ赤に染めるんだよ。なんて美しいんだろうね。」

こんなことなら恋なんてしなければよかったと少女は後悔した。しかし後悔したのはほんの一瞬で、またも次の恋にロマンスを求めて追いかけてしまうのだ。女の子という生き物はなんて残酷にも美しく、醜いのだろう。もしも少女があの少年を好きにならなければ、ナイフを血で染めることも、少女の首筋にキスマークがつくことも、はたまた地球がピンク色に変色することもなかったかもしれないのに。もしも林檎好きな少女の頭に少しでも脳ミソが入っていれば、白いものを赤に染めようなんて狂った思考は持ち合わせなかったかもしれない。もしもこの世に少女が存在しなければ、そもそも恋なんてものは存在しなかったかもしれない。

ひとりの男は言う。
「それでは世界は輝かない」
ひとりの女は言う。
「愛があってこそ人生に色がある」

たとえ身の危険に晒されても、壊れてしまっても、修正するのに愛は必要だ。お金では買えないし、つくるのに時間がかかるかもしれないが、こんなに良く効く薬はこれ以上ない。しかし毒にもなるため、取り扱いに注意が必要である。本当に相性の良い者同士でしか使うことができない。まるで魔法のように不思議で、ドキドキする。だから人々は愛を求め続けるのだ。

ある愛し合う恋人たちは言った。
「わたしたちはしあわせ」


くらいくらいしあわせのなか
(わたしたちのラブストーリーは狂気により構成されているのだ)




もしも世界中のだれかが
かわいい彼女へを叫んだとして
微笑む彼女のやさしい笑顔
にこびりついて離れなくなった今日この頃


また明日ねって手を振るけど、明日なんて待てなくて、今日の君をもっともっと知りたくて、離れたくなくて、一晩が長く感じた。震えるほど愛しい人を目の前にすると人間は皆こうなるのかあなんて考えていると、ふいに彼女が脳内を過ぎって呪文のように語りかけるのだ。
「だいすき、だいすきよ、世界よりも好き。あなただけ、あなただけよ。他には何もいらない。あなたさえ見てくれればそれでいいの。」
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