Aの憂鬱、bの純情23
ベッドが軋むちいさな音はまだ止まない。
アラウディはジョットを完全に舐めきっていたことを心から後悔した。
「しつっ、こい…!ばかっ、…、」
腕の中に閉じ込めた綺麗なものを馬鹿みたいに愛していたジョットは、気がついたら潤んだ目で罵倒されていた。
「も、やめ…、ジョット…」
好きなだけしてもいいと言ったのはアラウディのほうなのに。
だが、気まぐれなところもまたアラウディの危うい魅力のひとつだった。
ふたりとも顔もからだも、さんざん撒き散らした汁まみれで、お互いの境界線すらどこにあるのかわからない有り様。
本音を言えば、ジョットはずっとこうやってひとつに溶け合っていたかったが、そうもいかない。
「ではこれで終いにしよう」
「!?、ひ…!」
ぐちゅりと奥まで貫かれた菊門と、グイと握られた性器に、アラウディが腰を浮かせる。
「〜〜〜ッソコは もぅ、」
ここがこんなに気持ち良いことを教えてくれたのはアラウディなのに、アラウディは眉を寄せてイヤイヤとかぶりを振った。
濡れた色素の薄い髪からぽと、と雫が落ちる。
切羽詰まった、己を見上げて哀願する美貌。
「アラウディ、」
そうして、それをジョットはアラウディの手の込んだ演技と信じて疑わなかった。
流石だなアラウディ、…俺はもうお前以外のことを考える余裕など欠片もないのに、俺のためにまだそんな思わせぶりな仕草を見せてくれるなんて―――
だから、ジョットは理性を捨て去り、女豹のような肢体を嬲り尽くそうと決めた。
「おまえが、大好きだ、アラウディ」
「それはもう分かったから、やめ」
最後まで言い切らないうちに腰から何ともいえない振動が伝わってきて、アラウディは声にならない声をあげる。
「あひ、っ、――」
シーツを握りしめ、ぶるぶると爪先を震わせるくらいしかできない。
ジョットの手管はなかなか素晴らしいものになっている。
アラウディの雄を優しく丁寧にしごきあげながら、桃尻に肉の杭を打ち込む。
「は、…ぁっ、あっ、あっ」
律動に合わせて噴き上がるみだらな喘ぎを止められない。
入念な愛撫とからだを揺さぶられる快感に、記憶もなにも吹き飛んでしまいそうだ。
もはやアラウディは自分の完全敗北を認めた。
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4.27
ちょうどいいとこで止めとけばいいのに覚えたてのボスはしつこすぎて怒られる
残念なジョット様