Aの憂鬱、bの純情16
ジョットのはだけたシャツの裾で、口元を拭うアラウディはあくまで上品である。
「のんだのか…?!」
大慌てなのはジョットひとりだ。
「うん」
「…―――そんなことまでしなくて良い、俺の、その…、汚いだろう……」
「はしたないとは、言わないの?」
ふふふと微笑むアラウディが、小首を傾げる。
いつもより色味を増した朱いくちびるが白い顔に映えていた。
この、少しだけ首をかたむける時のアラウディの仕草が、ジョットはとても好きだと思う。
不思議そうな光を水色の瞳に浮かべて、金糸の髪が柔らかに揺れて…
「真っ赤だよ」
ちゅ、と鼻先に口付けられてしまった。
しかし、いつまでもからかわれて居る訳にはいかない。
勢いでジョットはアラウディに擦りよってみた。
好きなように触れていいと許可したのはアラウディ自身だ。
桃色の尖りが目に入る。
早く触ってとピンと勃ったアラウディの乳首に、恐る恐るくちびるを押し付けた。
「もっと強くなめて、」
アラウディの言う通りに、舌先を尖らせてべろりと舐めあげる。
「ん」
楽しそうにアラウディは頷き、ジョットの手を導いてもう片方の胸の先に導く。
指の先で軽くつまむように促され、従順にキュウとやさしく力をいれた。
「っ、そうだよ…出来てる」
徐々に調子が上向きになってきたジョットは、赤ん坊のごとくアラウディの胸に吸いついていた。
熱い舌で敏感な尖りをこすり、指先で丁寧にしごくと乳首は応えるようにますます硬くなる。
「……、は」
甘い吐息に、下半身がすぐにでも臨戦態勢になりそうだ。
何もしらないジョットだがすこぶる若いのだ。
遠慮がちにアラウディの太もものあいだに手を添えて、その先に進むか進まないか、密かに悩んでいた。
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4.16