Aの憂鬱、bの純情14
啄むような口付けで精一杯だった。
恋人同士のキスの方法など知らない。
「…もっとだよ」
ジョットの背中をあやすように撫でてやる。
世話の焼ける。
思ったより広い背中に、アラウディは妙な感慨を覚えた。
細く見えるようで、出逢って数年間で彼も成長しているのだ、身体だけは。
「ん」
口の中に温かい滑りが侵入してきて、ジョットが身じろいだ。
無垢な咥内を好きなように探る舌。
逃げ腰の舌先にアラウディのそれが絡みつき完全に捕まえられ、ねじりあわされてしまった。
そのままお互いの口の奥の奥までを味わい合う。
ちゅぷり、となまめかしい水音と、時折漏れる吐息の音だけがしている。
呼吸もあいまってあたまがひどく熱い。
ガチガチに緊張していたジョットの硬い身体が段々とゆるみ始め、少しまぶたをあげたら、オレンジの眼差しは気持ちよさそうにトロンとしていた。
そこに映り込むのはアラウディ自身だけだ。
悪くない。
真っ白な身体と心を、官能的な色に染めあげるのが、ここまで素晴らしいものだとは。
手早く押し倒すようにベッドに横たえて、言い聞かせる。
「一度楽にしてあげるよ」
キスの余韻でぼうっとしているジョットが事の成り行きを理解していないのをいいことに、アラウディはなんと、勃起しているジョット自身をヌッポリ咥えた。
「!?!?」
声もなく驚くジョットだが、アラウディは何でもない風に、怒張をくちびるで締め付けて吸い上げる。
「………っ…!」
目を丸くしたまま、ジョットの膝が大袈裟に跳ねた。
たまらないね。
初々しい反応に、アラウディも腰の奥に疼きを覚える。
彼自身はちっとも分かっていないだろう。
彼がどんなに、放っておけない存在なのかを。
股の間に挟み込んだジョットの左足に己の性器を擦り付けながら、アラウディはワザと音を立ててジョットを愛撫する。
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