Aの憂鬱、bの純情13


衣擦れの音に、余計恥ずかしくなる。

アラウディに手の震えを悟られぬよう頑張ったが駄目だった。
指先が言うことを聞かない。

けれどもそんな羞恥も徐々に露わになるアラウディの裸体に押し退けられた。

真っ白で、きめ細やかな肌。

同じ男と思えない。
全部剥いてしまっても、神々しさすら感じる綺麗なからだをしている。
触れるのを躊躇うくらいに。

「僕の番だね」

アラウディがニヤリと嬉しそうにジョットのベルトに手をかける。

「、俺は自分で…」
「いいから」

わざとゆっくり、前を広げられる。
ジョットの小さな表情の変化も見逃さないようにじっくり観察しながら。

どんな顔をして良いのやら、わからない………

アラウディのことだから、まだまだ意地悪は続くのだろう。
ジョットは泣きそうになりつつ覚悟していた。

「ワォ…フフっ…」

ジョットの自身はようやく解放されて、勢いよくそそり立っていた。
にしても、ひとのソレを取り出して笑い声をあげるなんて失礼すぎる。

「立派だね。準備万端じゃないか。僕の足がそんなに気持ちよかったの?」
「っあ、」

ぎゅ、と急に掴まれて思わず声が出てしまう。

女じゃないのに。情けない。
ジョットはくちびるを噛んだ。

「可愛いね…きみは」

飴と鞭の使い分けか、アラウディは随分優しく言う。
男として「可愛い」がこの場合褒め言葉になるのかはわからないが。

そうっとからだを寄せて、ジョットの頬に触れるだけのキスをする。

「ねぇ。好きに触ってくれていいんだよ」

触り方なんて知らない。
それでもジョットは怖々アラウディに向き直った。

「きみから、キスしてくれるならね」

…日本人的にいうなら清水の舞台から飛び降りる気持ちというやつであった。
壊れ物に触るように、アラウディの背中を引き寄せてそうっと抱き締める。


だめだ…心臓の音が…

自分でもわかる。
心拍数が異常である。


落ち着くんだ、俺。

内心もんどり打っているが、ここは男らしくせねば。

アラウディが金色のまつげをゆっくりと伏せ、ジョットは引き寄せられるように、くちびるを重ねた。



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4.10






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