Aの憂鬱、bの純情12

「脱いで。服を汚したらきみのママン(右腕)に叱られる」

今まで散々に悪さを働いた足が退いて、アラウディが命じてきた。

刺激は止まっても下半身の重いような熱は止まらない。
下着の中で性器が激しく脈を打っている。

服……、

抵抗があった。
人前で服を脱ぐのは初めてだ。

しかも、明らかに下半身が大変なことになっているのに。
こんな恥ずかしいところをアラウディに見せるのは……

動けないジョットにアラウディはくちびるの両端を上げる。
ベッドを動いて、のしりとジョットに詰め寄った。

「どうしたの?続きをするよ」

「きみが嫌だって言ってもね」

「おまえにとっては、仕事だからな……」
「違う」

そうだと言ってもあながち間違いではないのだがアラウディは否定した。
繊細なところのあるジョットをわざわざ傷付けてやることはない。

「きみをもっと知るのは、悪くないと思うからね」

つ、と頬を触れてやると強張っていた彼の気配が少しゆるむ。

「服…、俺だけ?」
「は、」
「アラウディは脱がないのか」
恥じらいに頬を染めて聞くのは止めて欲しいところだ。
いちいちこんな顔を見せられては…


「……僕の裸が見たいの?」

ますます苛めたくなるというものだ。

だが、ジョットは意外にも戸惑わなかった。
湯気が出そうなほど真っ赤な顔で、こくんと頷く。

「ああ」
「………」

下半身の興奮が素直にさせているのか酒で勢いづいたのかは不明だが、アラウディには逆らう気も権利もない。

「いいよ。きみが脱がせて」

手を持って襟元に導くと、おぼつかない手つきで、釦を一つ一つ外してゆく。

いくら慣れていないからとは言え、緊張のしすぎだ。

ジョットの指先の震えに、アラウディはクッと笑い出しそうで視線をそらした。

見ればジョットは真剣そのものであった。
綺麗な子だとは思う。
寡黙そうな顔立ちが、ひたむきに自分だけを見ている。

これがギャップに惹かれるという感覚なのだろう。
涼しい顔で群れを率いる男がたかがセックスでこの有り様。

「まっしろだ…すごいな…」

うっとりと言われると、やっぱり悪い気はしないものだ。

「いいよ。下も脱がせて」

アラウディは腰を浮かせて、全部剥ぎ取るように促した。


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4.9







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