Aの憂鬱、bの純情1
※珍しくジョアラ…序盤はGの出番多め
※どこまでも残念賞なジョットとサディスティックなアラウディに寛大な方向けです
※いろいろガッカリなMジョットとSアラ様
Aの憂鬱、bの純情:1
颯爽とひらめく黒いマントに映える金髪。
不思議に煌めく美しいオレンジ色の瞳は限りなく高潔で、目が合おうものなら一瞬にして魅入られてしまう…………
街を行くジョットの一歩うしろにつき従うGは、ジョットに向けられる人々の敬いと憧憬の視線を痛いほど感じながらふっ、と溜め息を洩らした。
Gは幼い頃から行動を共にしているこのジョットに関して、頭を悩ませているのだ。
非道な領主から皆を守る自警団としてだけではなく、今や大きな組織になろうとしているボンゴレに対する人民の信頼は何処までもかたい。
そうして成長した組織と、街を救いたいの一心でトップに祭り上げられた野心のない青年…というのは決して相性が良くなかった。
少なくともGはそう思っている。
「どうしたんだG?眉間のシワがいつにも増して凄いな」
ノロノロと机の書類に目を通しながら、ジョットは用意されたパンナコッタをひとすくい頬張った。
「食べるか仕事するかどっちかにしろ」
「では……、たべるか」
早々に仕事を後回しにした彼は無造作に紙束を机の端に寄せ、嬉々としてデザートに舌鼓を打っている。
普段の取り澄ました表情と180度違うジョットの無邪気な顔。
Gは、何となく頭を叩きたい衝動に駆られる。
自分はコイツの事で胃を痛める程であるのに、コイツはデスクワークになるとてんで役に立たない上、超甘いもの好きときている――いや、食べ物の嗜好に口を出すのも可哀想か――しかしマフィアのボスが甘党とか格好がつかな、…いや、何も言うまい。
Gは複雑な気持ちを込めてもう一度溜め息をついた。
「口元にクリームつけて、一体なんなんだテメェは?拭けよボス」
「ん」
布巾を手に取り手渡そうとしたら、「拭いてくれ」と顔を可愛らしい仕草で突き出して来やがった。
その瞬間Gの血管がブチンと切れた。
「あああああまえてんじゃねえよ殴るぞテメェェエエ!」
「!?もう殴ってるだろ!」
突然右腕に頭をはたかれてジョットはまったく意味が分からず、口を拭いつつ怯えた目でGを見上げた。
「おまえな…いつまでそんな調子なんだ?」
「??」
ひとを惹き寄せるカリスマ性がある。
ひとを守る腕力がある。
成功を得ても、小狡い人間に流されない、ブレない軸がある。
Gはそれでも心配だった。
ボスとしての威厳。
Gがジョットに決定的に足りないと危惧するのはソレだ。
「一度、腹を割って話そうとはしてたんだ…いいかジョット」
「なんだ改まって…」
「ズバリ聞くぞ?」
「ああ」
真剣なGに只事ではない空気を感じ、ジョットは姿勢を正した。
「おまえ…いつまで童貞でいるつもりだ?」
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