あの子をメニューに例えたら:後編(王様綱吉)

*ぬる裏
*ツナ←骸の要素含む







覆うものを失った己の下半身が空気に触れられ、スースーする。


「いい恰好ですね雲雀恭弥」

骸が嘲りを含んだ声音で雲雀に耳打ちした。
雲雀は黙ってオッドアイを見つめ返す。

「骸、余計なこと言うなよ!オレが意地悪してるみたいだろ」

「クフ…、“みたい”ですか」

みじめな姿を辱めるなら好きにすればいい。
雲雀はまだ矜持を保っていた。

(いつか。)

いつか咬み殺してこの狂った小動物のもたらす風紀の乱れは正さねばならないからだ。

だが解せないのは、そんな侮蔑を突きつける少年の声音が、かすかに妬みの棘を含んでいること。

「むくろさま、」

か細いそれは彼の寵愛するクロームの声だ。
物言いたげに骸のそばに立ち寄り添った。

「何でもありませんよ。では沢田綱吉。僕とクロームはそろそろ退散させていただきます」

「君がこれから雲雀恭弥にやる事を見せるのは、この子にはまだ早い」

(いい口実か)

みんなのボス沢田綱吉が『そういった』意味で触れるのは、この中だけで言うと、骸と雲雀だけだ。

どういう神経か知れないが、骸は彼から性的な愛撫を強制されるのを甘んじて受け入れている。

そして、沢田綱吉が自分に対するより明らかな執着をもって雲雀に触れるのを、快く思っていないらしい。
髪型通り奇特な少年と言うわけだ。


「いいよ、行けよ骸」
「ええ。君はせいぜい美味しく白桃を喰らっていなさい」


2人はゆっくりと暗がりに溶けていくように姿を消す。

「みんなも」

「行っていいよ、」

事態を見守るしかなかった一同は優しい顔で言い放たれる言葉に、漸く我に返った。

「じゃあ、オレ、部活戻るな」
「よし!オレも行かねば」
「ハッハルも塾へ行かなくちゃです」
「ハルちゃん、わたしも…」

ハルは名残惜しそうにツナを振り返り、京子がそんな彼女の手をそっと掴む。

「あのっ、オレはヒマしてるんで10代目がよろしければお手伝いしますけど…!」
「手伝うってなに?!だ、だいじょーぶだよ獄寺くん」
「そ そーっスか…」

苦笑いしたツナに断られた獄寺は心底歯がゆそうだった。



こうして、生チョコ、鰻重、タンドリーチキン、苺大福、ショートケーキ、カルパッチョが去って。
ツナの前に鎮座するのは白桃のコンポートだけ。

だがそれで良かった。

「……なにをしたいの?」

全員の見ている前で自分の痴態を見せ付けられる雲雀の恥辱に満ちた表情を見たいのだと思っていた。

「なにって?」

問い返すツナは雲雀の顔でなく、雲雀の見事な白桃を夢中で視姦しているようだ。

「オレに美味しく食べられる雲雀さんて。かわいいんですよ。だから、見せてあげない。独り占め」

クリクリした琥珀で悪戯に笑うツナの方こそ、『可愛い』という言葉は似合う(決して言ってやらないが)

ツナは床に落ちていた学ランを拾い上げるとパタパタと埃を払ってから雲雀の肩に羽織らせてきた。
尻を裸にされた雲雀が寒がっているのではと気遣ったのだろうか。

「!」
「まだ、かたくないや…あれぇ?」

少し汗ばんだ手が急に回り込んで雲雀の急所を無造作に確かめる。
「ほら、オレの」

対して、ズボンを穿いたまま雲雀の尻に押し付けてくるそれははっきり熱を持っていた。

(変態)
いつからか知れないが、小動物は既に臨戦態勢となっていた。
可愛らしい容姿もこうなっては台無しだ。

しかし冷めた切れ長の漆黒が、一瞬で見開かれる。

「…、…ッ」

ツナは身を離すと途端にしゃがみ込んで、雲雀の白桃に飛び込んだのだ。

2つの柔らかい白い丸みに、低い鼻先を挟みねじ込まれる。
クンクンと匂いを嗅ぐ音が雲雀のうなじを朱く染め上げた。

他人に見せたくない場所の匂いを愉しまれるのは、慣れたくてもいつまで経っても慣れられはしない辱めだ。

「あ」
思わず洩れた声を恥じる隙もない。
小動物は無慈悲にも桃尻を左右に押し分けてしまう。

白いかたまりの間に潜んでいた雲雀のソコは、剥き出しになった。

(こんな…)

「ちゅぷぷ…ッ、ちゅぱ…」

(咬み殺す!)

跪いたまま、尻だけを小さな暴君に突き出した姿勢。
ツナはそれにうずもれ、雲雀の谷間を舐め尽くしている。

非力な菊門は抵抗の術も持たないくせに酷く敏感で。
雲雀の弱点を知悉しているツナは後孔から陰嚢の付け根までの溝を舌先でなぞるのを好んでいるのだ。

最初こそ、冷たく反応しなかった雲雀の性器はいくら精神で律しようとしても、はしたなく勃ちあがってしまう。
じかに触っても貰えないソコの先端から、焦れたように雫がこぼれる。

怒りに震えながら、雲雀はそれでも感情を殺すことに腐心した。


「雲雀さんに聞きたいことあるんですけど」



最も雲雀が屈辱を感じるのは。
こんな風にいいようにされていながら、たっぷり時間をかけ解された菊門を期待に蠢かせてしまうこと。

ツナの声を聞いて、緩んだ桃色の蕾が、次に与えられる快楽を求めて、ひくり、ひくりと呼吸するのだ。
ツナもそれを知っているのだろう。
黙りこんだ雲雀の後ろで、ぷっと吹き出した。


「いいや!シてからで、」

その物言いに、睨み付けようと振り返った雲雀は息を飲む。

小動物の凶器が既に雲雀を犯そうと姿を現していたのだ。

「!?」

カシャ、と大きな音をたてた鎖は雲雀の内心の動揺そのもの。
「そぅだ…これ、邪魔」
切羽詰まった様子で、ツナは雲雀を吊している鎖からネクタイをほどいて解放した。

「えと、桃、いただきます」

四つん這いになった雲雀の下半身を抱き込み、ツナが独り言みたいに呟く。

狙いを定め伏し目になる小動物のそれはまるで額に炎を灯した時のように、冷たく熱く、静かな激しさをたたえていた。

(は…、)

逃げることも戦うこともしなかった。
太ももを広げて尻を浮かせて。

こんなちっぽけな少年に身を任せようとする恥辱さえも脳を沸き立たせる材料にしている自分。

「んんん」

猛った肉の匙を白桃の中心にねじ込み、呻いたのはツナ。
よほど、雲雀の桃が旨いらしく、暫くは腰を動かせない。

「ふ、ぁ」
「っ…さっさと…動いたら、」

本当ならそんな意地悪を言う余裕はなかった。
狭い中を小動物のものがグイグイと責めてくる。
重く熱いそれは、雲雀の胎内で嬉しそうに脈打っていた。

「ひ……」

実は負けん気が強いらしい小動物が、必死に腰を送り込んでくる。

(、はやい)

確かに、草食動物の群れを立ち去るよう命じたのは正解だ。
一心不乱に自分より大きな獲物に喰らいつく小動物の様子は常軌を逸している。

そんな中、雲雀は喜悦をプライドにかけて呑み込んでいた。
学ランの袖がちょうど顔にあたり、それをぐいと噛み締める。

「んく、ぅ…っ、う、う」
それでも、どうしても侵入するツナ自身に応えるのを止められない。

白桃に食い込むツナの指。
奥深く貫かれる菊門はもはや完全に逃れ道から見放されていた。

「はっ、ぜんぶ、出しちゃう、んで、ぜんぶっ、」

遠く遠くで声が聞こえたが、雲雀は理解できなかった。

大嫌いな一番弱いところに、小動物が何度も雄を命中させてくるのだ。
雲雀が尻を左右に振り、そこを外そうとしても、ツナは一生懸命にその敏感な箇所を性器で擦る。

(小動物のくせに!)

「卑怯、だ」

ギリギリと燃えるような眼差しに、爛々と輝く琥珀。

「あっ、―――」

(僕。…イく)

タイミングを計ったように最後の一突きが奥へ奥へ沈む。

「ああぁ!」

一度だけ、悦びに満ちた声を堪えられなかった。
腰をくねらせ、小動物の雄が根元まではいれるように迎え入れてしまう。

途端に、からだの中を逆流する熱。
どうやら、そいつは呆気なくも雲雀の収縮する肉壁の魅力に負けて、果てたらしい。

「、っふ、…」

が、ぴくんぴくんと痙攣しつつ、上半身を床に伏せ尻だけを高く捧げて、白濁をだらしなく発射する雲雀自身も、決して堪え性はないのだろう。

「白桃のコンポートに…、ミルク…」

「ごちそーさまです、ひばりさん」

息を切らしたツナは、性器と菊門から白いものを垂らす雲雀の桃尻をぼんやりと眺めていた。
桃色を汚す白。

ひどく濃いそれは、精液特有の青いにおいをはなっている。

「ね」

「さっきの続き…」

指一本動かす気になれない。
荒い息を吐く雲雀の前髪を整え、ツナがたずねたのは。

「オレって、メニューに例えたら、なんだと思います?」

やっぱり、ひばりさんからしたら、仔兎のリゾットとか?

見当違いの質問に、雲雀はようやくくちびるの端をあげて、笑った。

「知らなかったのかい、きみは」


食べ物なんかじゃなくて、僕を食べ尽くす捕食者だろ。

(きみを咬み殺そうとする僕の牙までやすやすと折ってしまう)




その小さな両手にナイフとフォークを構え、
彼は、いつだって無邪気に雲雀を喰らうのだ。







おわり

*****


終わってみればなんということもないお話










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