続レンタル茶うさぎ:8

言われてみれば、確かに睡い。

(君のせいだろ…)

「平気さ」
「じゃ、もっとシますね」
「ん。いいよ」

沢田綱吉は楽しそうに腕をふるい続ける。
ますます冴え渡る指捌き。

たまらない。

うなじや肩にとどまらず、背中や腰やあたままでも丁寧に触れて指圧を加えてくる。

(こんな…こんな気持ちよさが存在していいのかい?)


「んァ」

背骨の両脇を上から下、下から再び上へとグッグッと押されて、思わず雲雀のくちびるから甘い声が出た。

しかしそのことにすら雲雀自身は気づいていない。

(からだ全体が……とろけてしまいそうだ)

「…ふ、ン………、…」

背後の沢田綱吉の表情は一切変化のないニコニコ顔。
愛想のいい可愛らしい顔だ。


「ちょっと、いいれすかひばりさん。ベッドに…」

「ん…?」

ようやく我に返り、半分寝ぼけ眼で沢田綱吉に振り向くと、やつは「フー!」と息をつきながら、腕で額の汗を拭っていた。

「相当こってらっしゃるようなんで、寝転がって貰っていいれすか?腰から下も集中的にマッサージさせてください!」

(腰からした……)

ぼんやり考えたが、拒否する理由はどこにもなかった。

「………」


ゆらり。
無言で立ち上がる雲雀。
「いいよ」と返事するのも億劫だった。

気持ちがヨすぎたせいで、歩き方が操り人形のようにぎこちない。
からだの関節すべてからちからが抜けてしまっているのだ。

こんなにまでされてしまって、今から下半身まで隈無くマッサージされてしまったら、一体どうなるのか―――

生憎、其処まで考えられる余裕がなかった。

「もっと、いっぱい気持ちよくしてあげますね!」

ベッドに四肢を投げ出した雲雀に、茶うさぎ沢田は満面の笑顔で告げた。






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