続レンタル茶うさぎ:3

ぎゅ、ぎゅっ…

バイクの運転中に、茶うさぎ沢田の腕が雲雀の胸の下あたりに回っていた。

恋人同士がバイクに乗るみたいに細い腕で抱き付かれ、チラッと確認したミラーにうつる大人しそうなうさぎの顔つきに雲雀は密かに微笑ましい気持ちになる。
前に回る沢田の手に、雲雀は片手を重ねてみた。

一方的に自分のちからを見せつけるだけの、喧嘩に明け暮れる殺伐とした日常に不満はない…だが、こうやって、いかにもか弱い小動物に、頼るようにしがみ付かれるのも別に悪くはなかった。


角を曲がると、いよいよ雲雀の住まいが見えてくる。


「……ついたよ」

「……」

振り返ると、沢田はポカーンと呆けて、バイクが停まった前に広がる屋敷を眺めていた。

「なに?」
「あっすみませ……こ、こんな大きなお家見たことなくて…。雲雀さんて、すごいお屋敷にお住まいなんですねぇ」
「…まぁね。当然だよ」

普段特に意識することはないが、雲雀家は並盛町を統べる家系に恥じぬ、この辺りで一番の大豪邸である。
一般のサービスうさぎからして見れば驚きの屋敷だろう。

「こっちだよ。ついておいで」

手招くと、慌てた様子で雲雀の後をちょこちょこついてくる。

母屋の玄関をくぐれば、雲雀が何者かを連れて帰宅したことに、屋敷は静かながらも俄かにどよめいていた。

群れ嫌いの主が、一羽のうさぎをまとわりつかせて帰ってきたのだから無理もない。

けれども、事情を説明してやる気もなく、家の者にお茶の用意だけ命じると、雲雀はついに、離れにある自室に茶うさぎを連れ込んだのである……………


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レンタル茶うさぎ

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