拷問ごっこ :55(h)
「きょうや」
拷問だのなんだの言っておいて、自分は最初からこうして欲しかったのだ。
恭弥はやっと認めた。
綱吉の腕の包帯を見て、目尻からまたしても涙が伝う。
「つらい?恭弥くん…怖い?」
律動を続けていた綱吉が、心配そうに涙を舌先で掬った。
恭弥はかぶりを振って、綱吉の背中に腕を回す。
「あなたが、ちゃんと帰ってきて、ぼく 嬉しいよ」
ようやく告げた本音に、綱吉の顔もクシャリと歪んだ。
「ありがと…ごめんな、…ありがと…」
言葉はそれで十分だった。
ベッドの軋む音だけ遠くに聞こえる。
熱くなったからだの隅々まで絡めあって、境目すら消し去ってしまうくらいに、ふたりは溶け合っていた。
**
2011.7.26
拷問ごっこ