曇天25
今度は、彼はいつ俺の部屋に現れるんだろう。
「泊まってけばいいのに」
「風紀の仕事が忙しいんだ。帰るよ」
「からだ、キツいでしょ。俺、思いっきりヤらせて貰っちゃったし」
そこまで言ったら二の腕をグリリッ。一撃を喰らった。
「いってェっす!」
玄関から帰る雲雀さんの後ろ姿はまだまだ新鮮だ。
ローファーを履いて踵をトントンしてから、雲雀さんは見守る俺に気付いた。
「マットを汚して悪かったね」
「いえ、いえ、」
俺に謝るなんて、高校生になっただけあって雲雀さんも多少大人になったって事なのかな?
小首をことり、傾げると艶のある黒髪が微かに揺れる。
「ねぇ。また来てもいい?」
尋ねる雲雀さんは、案外普通の人みたいに見えた。
「!」
だから、といって彼の腕を引いて触れるだけの口付けをするとか。
(まさに出過ぎた真似だ)
恋人同士がする行動をとってしまった。
「………」
「あの!良かったら、雲雀さんが、今度いらっしゃる時までに、合い鍵作っておきます」
怖くなかったなんて嘘だ。
押し付けがましいって、気紛れな雲雀さんに疎んじられてしまうんじゃないかと、覚悟仕切れない状態でつい言った。
「まあ、雲雀さんが良かったら、ですけど」
「…うん」
変な汗を掻きつつ平静を装い提案する俺と、静かに頷く雲雀さん。
「あると便利だね、ソレ」
開けられたドアの向こうには夜空が広がっている。
星は見えない。
やっぱり天気は曇天のまま。
「じゃあね…綱吉」
淋しさの消えた胸に、代わりに居座ったのは、この人への恋なんだと。
俺は、ようやく認めた。
おわり
*****
えーっと。
ダラダラ続きましたが、アレです。
高校生になってビミョーな距離感を保ったまま、何でか綱吉のもとに現れる(以前より)大人しめのヒバリさんと、ヒバリさんを掴まえられない奔放な年上の人と思いこんでる綱吉が、お互いに相手の出方をヒッソリさぐり合ってるだけのお話です。
うわ、あらすじが、たった数行(笑)
お付き合いくださった方、ありがとうございましたー!
曇天