曇天24
なんか、か弱く見えるような、そんな仕草を見せる雲雀さんが珍しくて。
俺は初めてシた時みたいに俯いてあたまを掻いていた。
「…僕のこと嫌いになったの?」
ぽつりと洩らされた言葉。
この人は本当、ひとの表情と感情を読めない人だ。
いや、ある意味では変に敏感だった気もする。
俺がしょんぼりしていたら、ふらりと現れて面倒みてくれるような。でも甘えてみせると素っ気ない、そんな人だった。
「はあ…」
俺が雲雀さんを嫌いになるなんて、本気で心配してんのかな?
「な、訳、無いですよ…。腹減ったし晩飯にしたいんですが、雲雀さんもレトルトカレーでいいですか…」
「いただくよ」
俺の目を真っ直ぐ見返して答えた雲雀さんの眼差しは、やっぱり、涼しげで何処までも深い黒。
雲雀さんは、その身体を開いてよく知っても尚、掴み所のないひとなんだ。
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曇天