曇天23
「なんで…」
「なんでおしっこなんかしちゃうんですか…」
感情を込め忘れた俺の声。
「粗相する程気持ち良かったってことじゃないか」
そして、ハッと目を開けた雲雀さんが言ったのが、コレだ。
雲雀さんもちょうど我に返ったらしく、さっきまでの悶絶ぶりはどこへやら、尊大な調子だった。
「最悪ですよ」
「僕のなら聖水でしょ」
しょぼしょぼと漏らされたそれは、すっかりマットレスに浸透していた。
とりあえずドライヤーで何とかなるだろうか?
朝になったら干そう。
「………」
はあ。息をはいた。
今夜は床で寝なきゃな。
元はといえば、俺が調子に乗って雲雀さんを苛め抜いたのが原因だから、自業自得だ。
「……………」
雲雀さんがむくりと半身を起こした。
乱れた黒髪を片手でさらりと整える横顔は、少し所在なげだ。
「あの」
「なに」
「いや…」
***
曇天