曇天20
没頭している時って、時間の流れがぽっかり止まっている感じがする。
今、安アパートの一室、俺とこの人の周りだけ、全てが制止していた。
無造作に投げ出された制服の上着も、転がしたローションの瓶も、遠い。
「さわだ」
雲雀さんがどうして俺のところにこういうコトを致しにくるのか、抱いていた素朴な疑問も吹き飛んでいた。
ひたすら猛烈な律動を繰り返す。
「……っ―――!」
そうして、いい加減コツは掴んできた。
超直感なんかに頼るつもりもないけど雲雀さんがいよいよその時を迎えつつあるのも、よく分かる。
彼は、手加減は悦ばない。はず(多分)。
「んゥ、ウ!」
弱点をワザと狙って押し揉むように責めたてる。
雲雀さんが、やだ、と呻いて頸を何度も振った。
さっきまであんなに挑発的だったのに。
「あ゛………っ」
しろい裸体が悩ましく、しなる。
僅かに雲雀さんが退くのを察した俺はつい逃すまい、と力強くあるものを握った。
***
曇天