曇天19
後悔先にたたずって言葉の存在を彼は知らなかったんだろうか。
それとも、…
「っい、……ッ、!」
「ひた、ひたくないで、すか?」
頸のうしろに回っている雲雀さんの腕が俺をきつくきつく抱き締める。
俺はと言えば、後先も考えないで、彼のからだを好きなように貪っていた。
安いパイプベッドが軋む。
まるで悲鳴だ。
グッ、と奥まで腰を送り込むと端正な顔立ちが歪んで、それでも「痛い」「加減しろ」とは言わないのが雲雀さんだった。
「ぁ…ッ…そこ、もっとっ…」
よいところに当たった俺の自身に、歓喜の声が上がる。
「もっとしてよ」
ひとつしか変わらないのに、ずっと年上の人みたいな濃艶なおねだりに、からだが益々言うことをきかなくなる。
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曇天