曇天18
綺麗なひとだった。
中学生の頃から、このひとは。
威圧感という真っ黒い闇の衣を身に纏って、内側には儚い硝子細工を抱えているような、俺はそんな風に雲雀さんを見ていた。
「動いていいよ」
「はい」
シーツの上でさ迷っていた彼の白い腕が俺の頸に回されて。
情けないくらいひょろひょろな返事をする俺。
最初はゆるゆるっと腰を動かし、弱く浅く結合したからだを揺らす。
「、ぅく…っんん…ん、」
恥ずかしい。
雲雀さんの胎内がぐんとうねり、乗っかってる側の俺が先に鳴いてしまった。
チラッと彼を見たら、気のせいじゃないだろう、雲雀さんは少し細めた優しい漆黒で俺を慈しんでいる。
「…すみませ、俺、きもちくて」
「いいさ。思い切りやりなよ」
こんな殺し文句、似合うひとは他にいない。
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曇天