ミニマムライフ
※手乗りサイズな一樹さんを飼ってみた、というパラレルネタ。
苦手な方はお戻りください。
手乗りサイズ、とは真にこのこと。
ゲージにいれて連れて帰ってきたら、揺れるから早く降ろせとせがまれた。
ちょっぴり生意気だな、なんて思いながら床におろしてあげると、私の足首より少し上程しかない。
その大きさに思わず胸をときめかせていると、しばらく突っ立っていた一樹が困り果てたようにこちらを見上げた。
「ひ、広いな…この家」
普通に一人暮らしができる程度の広さしかないです。
「…なあ、なまえの肩に乗っけてくれないか?」
「なんで?」
「俺じゃ部屋の確認をするだけで日が暮れるからな…」
なるほど、確かにその姿からすればこの家は十分すぎるほどに広いのだろう。
仰せのままに、と手を差しのべると、よいしょよいしょと手に乗ってくる。
ちまっとした手が触れたときに伝わってきた温もりが、決して人形などではないことを認識させた。
スッと肩まで手を持っていくと、高さに少々怯えながらもしっかりと服にしがみついてくれる。
可愛い…っ!
「あんまり、揺らすなよ?」
「はいはい」
ゆっくりと部屋を案内すると、だんだんと落ち着いてきたのか、服を掴む力が緩くなった。
最初から上にいるかのような口調をしていたが、それなりに緊張していたらしい。
一通り案内し終わると、ソファに腰かけて休憩をとった。
クッションの上に心地良さそうに寝ころがっている姿は、やはり人形なんじゃないかと思う。
人差し指でそっと頭を撫でると、嬉しそうに顔をほころばせた。
「…そうだ、自己紹介ちゃんとしてなかったね」
「そういえばそうだな」
「えーっと、みょうじなまえです。
一人暮らしでー、歳は…秘密です」
「最初からわかることしか言ってないな」
…可愛い見た目に反して、案外頭いいなあ。
「じゃあ、なんか質問してよ」
「俺がか?…なまえ、お前は、俺とどう暮らしていきたい?」
とても真面目な顔で言う。
それはそうだ、だってこれから私は彼の飼い主であり、同居人となるのだから。
「…一樹と私が、優しく幸せになれるように暮らしたい」
あなたを選んだのは、あなたを幸せにしたかったから。
恋心とは違う、なんというのか、母性愛に近い思い。
寂しそうなその目を、優しさでいっぱいにしたかった。
「…不知火一樹、これでも一九歳だ」
嬉しそうに口を開いて、小さなその手を差し伸べてくる。
「幸せにしてくれるんだろ?よろしくな」
小さな手に人差し指を重ねて、緩くふった。
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそ、だな」
見つめあって笑う。
ペットと言うより、本当に同居人だ。
これから始まる生活は、きっと楽しくなるだろう。
小さな彼の小さな幸せが、積もって大きな幸せになるような、そんな生活。
ミニマムライフ
お前みたいな飼い主を、ずっと待ってたんだ。
0730
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肩乗り一樹さん可愛いね。