※アニメベースで翔ちゃんは砂月のことを知ってる。
※那翔です







 那月は時々笑いながら泣く。涙の流し方を忘れたみたいに。寂しそうに笑う。いつも笑顔の優しい人。なんて俺は思わない。
「那月。」
 俺が名前を呼べば生気のない笑顔で笑って、なぁに、なんて言う。レコーディングテストが思うように行かなかった、と言っていた。こいつのことだから圧倒的な実力を見せ付けておいて、自分で納得が行かないだけだと思う。案の定、テストは合格してるみたいだし。昔からなんだろーけど完璧主義っつーか理想が高いっつーか。トキヤも結構そうだと思うけどこいつの場合、病的。自分を許すことを許してないみたいな、自分の個性も実力も認めたくないみたいな。思い詰めるなっつったって思い詰めるし、元気出せっつったって無理して笑うだけだし。那月は天才だけど完璧じゃない。砂月を作り出してもまだ耐え切れないなにかにいつも震えている。
「おいで。」
 ベッドの上で腕を広げて那月を迎えてやる。
「今日だけ特別大サービス。俺様の胸を貸してやる。」
 でっかい図体がペタペタと裸足で子供みたいに歩いて俺の所までやってくる。そして俺の胸に那月の顔が埋まる。その頭を抱きしめてやって髪を撫でる。俺と違って細くて柔らかい髪が指に絡む。この大きな身体にも支えきれない重圧は何なのだろう。俺のできることなら、抱きしめてやるし、笑ってもやるから。もうお前の泣き顔なんて見たくないよ。





110925

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