※「爛れてる」の続編 ※セフレ ※嶺二がダメな子 ※成人のみ閲覧可 僕は子どもだったから、この仕事を続ける術はそれしかないのだと思っていた。仕事をくれそうなおじさんににこにこして好きなだけ身体を触らせて触って好きじゃない声を聞きながら仕事をねだる。 それがよくないって気づいた時にはもう遅かった。 夜のお勤めが終わって愛車で自宅に帰る。行き交うヘッドランプが瞳の中で交錯して眩しい。 今日はドラマの役をもらえる事になった。オムニバスの一話の主役。なかなか相応の対価だと思う。 赤いライトの示すようにブレーキを踏んだらちょうど携帯が震えてサブディスプレイを確認するとランランの名前。 まだ青くなりそうもないライトを瞳のに映しながら携帯を開く、受話。 「腹減った。」 こっちが応答する前にランランの声が聞こえてびっくりした。 「ごめんねー。今日はウチの弁当持ってけそうにないや。また今度…」 「クルマか?」 「ん?そうだけど?」 「弁当はいいからそのままウチ来い。」 返事をする前に通話が途絶えた。 夜中にこんな風に呼び出すなんてランランも人使い荒いよね。仕方なくウィンカーを出して行き先を変更する。 目の前の光が青くなった。 ランランはとてもいい子だ。 僕のわがままに付き合ってくれる。いい子。 なんかの漫画でいい人って言うのは自分にとって都合がいい人だって言ってたんだけどまさにそう。 もう引き返せなくなった僕を甘やかしてくれる、いい子。 「俺じゃダメなのかよ。」 先週、背中で聞いたランランの言葉を思い出すと胸が痛んだ。 「ダメなんだよ…ランランみたいないい子じゃ…。」 ハンドルを切りながら独り言。 僕が汚れてるなんてランランは知らなくていい。 いつもみたいに好きなようにセックスするだけでいい。それだけで僕は幸せだから。 決して綺麗ではないアパートの前に愛車を停めて二階のランランの部屋を訪ねる。呼び鈴を鳴らすとしばらくして扉が開いた。暖かい光と銀髪がぶっきらぼうに招き入れる。 この小さな部屋で何度身体を重ねたんだろ。 「おっじゃましまーす!」 馴染みの部屋に上がって定位置のソファに座ったらいつもは少し離れて座るランランが隣にぴったり座ってきた。 「…ウチに来る前、どこにいた?」 片足をソファに乗り上げるようにしてランランが覗き込む。手首を掴まれて引き寄せられた。 「どこって…仕事だよ。ほら、局の打ち合わせ。」 「事務所で聞いたら今日はオフだっつってた。」 そりゃそうだ。 オフにわざわざ局のお偉いさんとデートして肉体労働で仕事取りに行ってんだから。 まぁランランにそんな話なんて絶対したくないし適当に誤魔化そう。 「急に…呼び出されちゃったからさー!そのあとご飯食べててさっき解散したとこだ…」 言い終わる前にランランが頭を掴んで顔をいきなり近づけた。 「いつものシャンプーじゃねぇ匂いがする。」 髪に鼻を埋めながら低い声が響いて背筋がぞくっとした。視線をランランに向けると眉を寄せた顔がこっちを見た。 「髪も乾ききってねぇ…その局のやつらと銭湯でも行ったのか?…ちげぇだろ。」 低い声が耳元で反響してくらくらする。不意に突き飛ばされてしてソファに組み敷かれる。視界が一変、して目の前に影が降った。 「何してたのか、言えよ。」 見上げたランランは少し顔が赤くて鋭い瞳がまっすぐ僕を見てる。ランラン、今日はカラコンしてないんだね。 「今言った通りだよ?…打ち合わせして、ご飯食べてただけ。」 ついにばれちゃったのかな。ランランには知られたくなかったのに。だってこんな僕を知ったらランランは僕を嫌いになるでしょ。真面目でまっすぐなランランは僕みたいなの嫌いでしょ。 だから、そんな責めるみたいな目をしないで。見逃してよ。 「ふざけんな。」 吐き捨てる低い声に背筋が震えた。唇に痛いくらい噛みつかれ乱暴にシャツを捲られる。爪を立てるみたいにして肌を撫でられてぞわぞわと快感が脊髄を震わせる。 「んっ、ランラ…!」 快楽に弱い身体が疼く。さっきもお偉いさん相手にしてきた所なのに。 息をする間も与えられずに唇に噛みつかれて食べられて舐められて、死んじゃいそう。 「俺が…知らねーとでも…。」 獣みたいに熱い吐息の隙間に聞こえた声は掠れてる。 名前を呼ぼうとしたら筋張った腕が僕の身体をきつく締め付けて息ができなくなった。 131211[戻る] |