※セフレ てめぇから甘えて俺を求めてきたくせにいざ捕まえようとすると笑って俺の腕をすり抜ける。それでも俺を求める声は変わらず俺は結局また嶺二を抱き締める。いいようにされてんのはわかってる。けど、あいつの泣いてるみたいな笑顔を放っておけねーんだ。 「また来ちゃった!」 シャワー浴びてる最中にしつこく呼び鈴が鳴ったからどっかのガキのいたずらだと思って怒鳴るつもりで玄関を開けたらへらへら笑う嶺二がいた。 「あっれー?ランランビショビショだよ?ちゃんと髪拭かないとハゲちゃうぞ!」 誰のせいで腰巻タオル一枚で頭からびしょ濡れのままバスルームから飛び出したんだと思ってんだ。人の迷惑を考えてないようなへらへら声に舌打ちして玄関扉を大きく開くと嶺二が飛びついて来た。 「馬鹿野郎!濡れんぞ!」 「あはは!髪がペタンコのランランって可愛いねー!」 ビショビショの髪をぐしゃぐしゃ撫でて笑う嶺二の腕を掴んで睨みつけたら泣きそうな顔をしてて、そのままキスをした。 嶺二は涙を流さない。 いい大人が人前で泣くのもどうかしてるだろーが、泣きそうな顔をして泣くことはない。 キスをして舌を絡めて嶺二がすぐに熱くなった。 その後はいつものように、獣みたいに快楽だけを貪った。 熱だけを共有して、こいつの気持ちなんて俺にはわからない。都合がいいと思われてるのか寂しい時だけ擦り寄ってきてへらへらして。 「俺じゃダメなのかよ。」 すっかり髪は渇いてて事後のダルさで起き上がれないまま呟いた。 背中を向けて横たわる嶺二はたぶん起きてるけどタヌキを決め込んでる。 恋や愛なんて柄じゃねぇもんがお前との間にあるとは思えない。でもできることなら俺の腕の中で泣いて欲しい。 131008 [戻る] |