嶺二がうちに来るのは決まって失恋した時だ。
日付が変わる少し前に電話があって、弁当を持っていくから邪魔してもいいかって涙声。
仮にもアイドルなんだから演技くらいしろって言いてぇ。
んな声じゃ慰めてくださいって言ってるようなもんだろーが。

電話を切って時計を確認する。
あいつがここに来るまでは多分10分くらい。
あの愛車でやってくるだろう。

ポットに水を入れて火に掛ける。
どうせソファを占領されるだろうから、乗せてあった上着をハンガーに移す。

あいつは大体、女を見る目がねぇ。
あと恋愛なんてする気ねぇクセに恋ばっかりしやがる。
人を惹きつけといて肝心なところで突き放してんのが自分だって自覚がねぇ。

女にも俺にするみてぇに素直に甘えりゃいいのに。
馬鹿か、あいつは。


130603
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