ダンウォ発売!

※書き途中につきぶつ切りな12裏柿元兄
※夢主デフォルト:マルル、12裏主人公:ジベルト



「見付けたぞ、コウ……! 貴様今まで一体どこをほっつき歩いていたのだ! 私がどれだけ探したと……!」

 実に数年ぶりの再会であると、コウは他人事のようにそう思った。泣いているのか怒っているのか分かりづらい表情をした目の前の女――マルルは、ぐいと涙を拭ってコウを見据える。
 コウに昼食を奢らされた帰りであったジベルトは、状況の把握が出来ずコウを仰ぎ見る。彼女の口振りからして旧知の間柄であることは伺えたが、それにしては仲が険悪すぎるように感じたのだ。コウはマルルとジベルトを交互に見やり、冷や汗を伝わせる。緊張の糸が張り巡らされた中、最初に口火を切ったのはマルルであった。

「おい、そこのお前。こいつの素性は知っているのか」
「いや、コウさんは自称傭兵だそうだが」
「そうか……なぁ、頼みがある。暫く私もお前たちの一味に加えてくれないか。噂は聞いているぞ――銀の盾の魔物ハンター、ジベルトよ」



*



 アカリエスタ王国、第一騎士団の壊滅。
 マルルが血眼になってコウを探しだした理由は、それだった。

 コウ、そして彼の弟であるユウとマルルは、幼なじみの関係にあたる。兄弟が騎士団へと志願し、マルルが王宮文官として働き初めてからもその関係は続き、いつしかマルルとユウは恋人関係にまで発展していた。コウはそんな二人の様子を微笑ましく思いながら、自身は騎士団の頭としてその実力を振るう。かつて最強と呼ばれていた騎士団はしかし、ある事件を境に崩壊した。

「ユウ。……お前の思いは、無駄にはしない」

 今はもうこの世にいない恋人を思い浮かべ、彼から贈られた婚約指輪を見つめる。銀色のチェーンに通しネックレスにしているそれは、二度と薬指に嵌められることは無いだろう。将来を誓った薬指へと落とされた口付けの感触は今でも覚えているというのに、愛しい彼は亡くなってしまった。逢うことも、触れることも、愛を囁くことも出来ない。
 そう、全ては――

「コウ……奴さえ、逃げ出さなければ……!」

 ユウは兄であるコウを尊敬していた。兄に近付くために努力を重ねていた。しかし現実とは非情であり、神は弟には兄ほどの才能を授けなかったのである。コウは、努力や凡人の才を遥かに飛び越えた先に佇んでいた。彼が団長を務めていた頃の騎士団が最強と謳われていたのは、一重にコウが優秀な指揮官であったからである。

2013/10/31 02:11



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