そのまま水を被せられたり、皿を投げつけられたりした。
罵声が飛び交う。
…ねえシズちゃん。
やっぱり、赤目は不吉だよ。
大切な場所を、壊してごめんね。もしかしたらもう嫌になるかもしれない。迷惑に、なるかもしんない。

(ごめんね…、)

遠退いていく意識の中で、母親が皿を割った感じに似ていると思いながらも目を閉じた。


















「…ざ…、臨也!」

目を開けると、眉を八の字にして辛そうな顔をするシズちゃんがいた。

「あ、れ…」
「大丈夫か!?何があったんだ?」

冷静になって行く頭で周りを見渡すと、椅子は全部倒れ、ほぼ食器やコップは割れていて、床は水浸しになっていた。

「……」
「臨也、」
「…中学の、奴らが来て…勝手、に」
「…そうか」

震えている俺を抱きしめると、シズちゃんは救急箱から包帯と塗り薬を付けて手当てをしてくれた。

それから黙々と言った感じで割れた皿を片し始めたシズちゃんに思わず涙が溢れた。

「ごめ、ごめん…ね…俺が弱いから。俺が赤目だから…せっかくの場所、壊したりして…っ」

幻滅した?
俺がイジメられたせいで家が壊れてくのに…嫌気がさした?

「嫌いになった?なった、よね…ごめんなさい…」
「…臨也」

いっぱいいっぱいの涙を拭うと、シズちゃんは優しく俺の名前を呼んだ。

「んな泣くなって。それにお前が無事で良かった。今度ソイツ等に会ったら殴らねぇとな」
「シズちゃ…」
「赤目は不吉じゃねーよ。綺麗だし、俺が大好きな色だかんな」

ねえ、何でそんなに君は優しいの?
俺なんかいたら、また家が崩壊されちゃうかもしんないんだよ?

「シズちゃん。ごめんね…」
「謝んなって、」
「ありがと…大好き」
「あぁ、俺も」

それから二人して壊れた皿などを片付けたり水浸しの床を拭いたりした。寝室や他ら荒らされてないみたいだ。
運良く次の日は休みだったから、シズちゃんと新しい皿とコップを買いに行き、アイツ等には四木さんに連絡して表には出られないようにしてやった。ざまぁみやがれ。

「なあ臨也」
「んー?」
「今度よ、久々に池袋に行かね?あっちの同僚にも会いたいし」
「婚約者にも会いたいし?」
「…まあ、そうだな。あと」
「ん?」
「臨也をイジメた奴らを殴りにな」

ははっ、シズちゃん。

「ソイツ等なら今頃、路地裏で野垂れ死んでるかもよ」
「臨也らしいな」
「ふふ」

この先の何年も、きっと赤目なんて不吉としか呼ばれないだろうけど、世界でたった一人、シズちゃんだけが赤目を好きだと思ってくれたらそれで良いんだ。

+10pに満ちる恋
もっと もっと 積み重ねて
+100 ぐらいの愛を 満たそうか



リクエストありがとうございました!
−10pの話を大好きだと言ってくださり、続きがどうしても読みたい!なんて言ってくださり本当に嬉しく思います。ありがとうございます。
こんな感じで大丈夫…でしょうか。
それでは素敵なリクエストをありがとうございます。

楽屋。