俺はその人魚をいつの間にか見つめていた。だって可愛いかったから。
その人魚は手に怪我をしていた、さっきのカモメにでもつつかれたのだろうか。俺は手当てしてあげないとと思いその人魚さんを持ち上げた、ちょうど手が人魚さんの鰭にあたった。魚と同じ感触だった、このとき俺は本当に人魚なんだと実感した。
その人魚さんを抱えてじぃちゃんの家に向かった。その人魚さんはすごく軽くて驚いた、まるで硝子コップのような重さだった。なんだか落としてしまったら一瞬て壊れてしまいそうな感じがした。だから走らずにゆっくり家に向かって歩いた。
家につき布団のシーツをとってその上に人魚さんを優しくのせた。
それから一晩たち人魚さんはやっと目を開けた。 人魚さんは目を開けたと同時に俺を見てきた。当たり前だけど。
「…ここ」
「あ、ここは俺の家!本当はじぃちゃんのだけど」
その人魚さんは身体が震えていた。
「…あなた誰?」
「浜野!浜野海士!」
「は…まの?」
「うん」
「はまの!」
その人魚さんは小さい子が初めて言葉を覚えたように喜んだ。俺は自分の名前を教えたので人魚さんの名前も聞いてみることにした。
「ちゅーか、君の名前はなんて言うの?」
「?」
人魚さんはクエスチョンマークを頭に浮かせた。
「だから名前だよ名前」
「アカネ」
「アカネ?」俺は驚いた、じぃちゃんの話しに出てきた人魚さんの名前と同じだったから。俺は驚きを隠せず口を開けていた。
すると、人魚さんは自分が悪いことをしてしまったみたいな顔になりオロオロしはじめた。なんて言うか、かわいい。
「私の名前変だった?」
「違う、違う!ちゅーか変なんかじゃないよ!かわいいよ!」
俺はあとからすごく恥ずかしくなった。まさかこんな恥ずかしいことを言ってしまうなんて思ってなかった。人魚さんは優しく微笑んでありがとう、浜野くんと言った。
その笑顔と優しい言葉に俺は心を打たれた。
それから俺は人魚さんのことをアカネちゃんと呼ぶことにした。
俺はアカネちゃんのためにご飯を作ってあげた。ご飯を作って食卓の上にご飯をのせたとき俺はアカネちゃんの足が目にはいった。アカネちゃんはいつの間にか人の足になっていた。驚きを隠せずにしていたらアカネちゃんが話してきた。
「足のこと?」
「え、うん」
「いつの間にかこうなってたの」
俺は思った人魚は人に変われたり人魚なれたりと、自由自在なのかもしれないと。
アカネちゃんにご飯とお箸をわたしたが、アカネちゃんはお箸が使えないようだった。調子をこいて「食べさせてあげる?」なんて言ってしまった。アカネちゃんは、ぱぁと明るい顔になり「お願いします」と言った。



あぁ、これはヤバい、反則






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