繋ぐ


※南沢は雷門にいます。


お風呂に入り終わってから円堂監督から合宿所のホールに召集がかかった。
私は合宿所のホールに瀬戸先輩と茜先輩とで向かった。
ホールに到着したらサッカー部のみんながいて、みんななぜ召集がかかったのかわからずに首をかしげていた。
合宿のしおりだとお風呂のあとは就寝と書いてあったのに…。皆はなにか悪いことをしたあとのように気持ちが下がっていた。
「ちょいちょい、皆テンション下がってね?」
「当たり前ですよ浜野くん、召集ですよ召集…もうおしまいだ…怒られるんだ」
「速水考えすぎじゃね?」
「浜野すこし黙ってろ」
「倉間酷いー」
すると円堂監督がホールに入ってきた。
剣城以外の一年生の皆は初めての合宿で、召集がかかったのでおっかなびっくりだった。
「円堂監督、俺たちなにかしましたか?」
「いや、神童たちはなにもしてない。この時間を使ってみんなのチームワークを一気に上げる!」
「なにをするんですか!?」
「王様ゲームだ!」
まさか円堂監督から王様ゲームなんて言葉がでるなんて、チームの皆は唖然としていた。無理はない、いつもの円堂監督ならそんな言葉は言わないから。「か、監督…酔ってますか?」
「失礼だド、三国」
「なんで王様ゲームなんですか?」
「その質問をまってたぞ霧野!王様ゲームはチームワークを最も上げられるし、チームの絆も増す。だから王様ゲームだ!」
みんなは円堂監督に言い返せなかった。みんなもチームワークや絆を増したいからだ。
まあ、一番チームワークを上げないといけないのは剣城なんだけどね。剣城はなにをするにも一人、一匹オオカミなんて寂しいしだけなのに。
「あ、マネージャーも王様ゲームやるんだぞ!」
「はぁ!?それなしだろ、監督!!」
「いいじゃない水鳥ちゃん、楽しそうだし。ね?葵ちゃん」
「え、あ、はい!」
私はつい「はい!」と返してしまった。先輩には「はい!」と答えるのが日常になっていたから。
私はあまり楽しい気分になれなかった。もし、王様ゲームでおかしなことを命令され剣城に恥ずかしいとことをして見られたら私は生きていけない。
「よし、やるか!じゃあ皆俺の手に握ってる割りばしを引いてくれ」
皆は戸惑いながらも割りばし(くじ)を引いた。
すると円堂監督が初めての言葉をいった。
「おーさまだーれ!」皆は一斉に自分の引いた割りばしをみた。
「あ、俺が王様です」
手をあげて自分が王様と名乗ったのはマサキくんだった。
ちなみに私は2番の割りばしを引いていた。
私は2番が当たらないように心の中で祈った。
「えーと…じゃあ、8番の人が1番にプロポーズ!」
皆は一斉にもう一度自分の割りばしをみた。8番と1番は誰なんだろう?
「あたし!8番!」
8番と名乗ったのは瀬戸先輩だった。瀬戸先輩は最初は嫌と言っていたが今はノリノリだった。私は瀬戸先輩が羨ましくなっだ。
「さぁ、1番は誰だ?」
瀬戸先輩が皆を見渡すと、明らかに目を下に向けている人がいた。
「1番はお前だな!影山!」
1番は影山くんだった。
「…うー」
「よし、影山言うから聞けよ!」
「は、はい!」
「影山…あたし影山のがんばってる姿が一番好きだ。結婚してくれ」
まじなプロポーズに皆は大爆笑した。あぁ、これなんだか楽しいかもと思ったわたしがいた。
「瀬戸最高!」
「だろ?浜野」
それから、円堂監督は皆から割りばしを集めてまた引くようにいった。そして、
「おーさまだーれ?」
「はい、俺です」
返事をしたのは南沢先輩だった、皆一気に顔いろが青くなった。
それもそのはずあの南沢先輩だから。ついでに私は今度は11番だった。
「じゃあ、9番が10番をお姫様抱っこする」
危なかった、あともうひとつでわたしはお姫様抱っこの餌食?になるところだった。
「ぼ、ぼくが9番です…」
9番だったのは速水先輩だった。
「10番は俺だド」
皆は沈黙になった。まさか10番が天城先輩だとは誰も思っていなかったと思う。
マサキくんなんて下を向いて笑いをこらえている。
すると南沢先輩が
「…ごめん、やっぱ今のなし」
「だめだ、王様の命令は絶対だぞ?」
円堂監督の目がヒョウのように光った気がした。
結果、速水先輩はがんばって天城を持ち上げようとしたけど、天城先輩の下敷きになっておわった。
わたしは楽しくなって皆と一緒に笑っていた。こんなにも王様ゲームが楽しいなんて初めて知った瞬間だった。
また円堂監督が割りばしを集めて皆に引かせた。
「おーさまだーれ??」
「俺です」
次に王様になったのは霧野先輩だった。
ちなみにわたしは6番だった。
「う〜ん、よし。6番と12番が外で手を繋いで散歩!」
「円堂監督、これはダメですよね?」
神童先輩が怖い顔で円堂監督に聞いた。円堂監督はただニコニコしているだけだった。
「神童諦めろ…」
「く、倉間…」
結局、神童先輩は倉間先輩に言われてあきらめた。
それより、6番てあたしじゃん!どうしよう。12番て誰なんだろう?
「おい、12番て誰だよ。王様の言うこと聞かないのか?」
霧野先輩がいきなりサドになった。
少ししたら、静かに手が上がった。その手の主は剣城だった。皆はお化けがでたかのように驚いた。
わたしは剣城だとわかった瞬間に心の中でガッツポーズをした。こんな運よく剣城と二人になれるなんて、思っても見なかったから。
霧野先輩の後ろから光が見えるような気がした。
わたしは内心、喜んでいたら剣城と目があった。だけど剣城は素っ気なく目をそらした。いつもと全く変わらない。
皆はヒゥヒゥーと口笛を鳴らしてからかった。
「じゃあバイバイー」
霧野先輩は私たち二人の腕を掴んでホールから出した。
二人になれたのは嬉しいけどなんかはめられた感じがした。
「…」
「なんで黙ってんだよ」
「あ、なんか霧野先輩にはめられた感じがしてさ」
「霧野先輩ははめたりなんかしてねぇよ」
「じゃあ今回のこれは運なんだ」
「違う、俺がはめた」
「はい?」
剣城の言葉に耳を疑った。俺がはめた、てどういうこと?
なにがなんなのかわからなくなってきた。
「だから、俺がはめた」
「でも、番号は?」
「天馬のとすり替えた」
「そうゆうことか」
話が読めてきた。剣城は自分の番号と天馬のを入れ替えたのだ。
まさか、そこまでするとはおもってもなかった。
「ほら」
「え、なに?」
「手だよ、手」
そっかわたしたち手を繋いで散歩しなくちゃいけないんだった。だけど、今は霧野先輩は居ないから別に手は繋がなくていいのに。
「剣城、無理しなくて大丈夫だよ?霧野先輩はいま居ないんだから」
「お前はあほか」
「な!あほじゃないよ!」
「…俺が繋ぎたいから言ってんだよ」
「つ、繋ぐ」
わたしはそんな手を繋ぎたがりやな剣城が大好きです。

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