気づかい


気づかい


雷門サッカー部の合宿1日目の夜、サッカー部のみんながお風呂に入る時間。
あたしたちマネージャーもサッカー部のみんなと同じ時間にお風呂に入ることになっている。
団体行動が大事だと鬼道監督が言っていたから。
私たちが合宿のために宿泊している場所は小さな旅館である。
この旅館は雷門サッカー部のためにわざわざ一週間貸し切りにしてくれる。なんて雷門に力をそそぐ旅館だろう。
女将さんは美人で若いし、料理は豪華だし、最高の旅館だ。
「葵、茜!風呂入りにいくぞ!」
「はい」
「うん」
こうして私たちマネージャーは仲良く三人荷物を持ちで風呂場に向かった。歩いていたら、前に神童先輩と速水先輩と浜野先輩がいた。
浜野先輩がこっちに気づき話しかけてきた。
「あ!マネージャー達も風呂?」
「ああ、もしかして浜野達も?」
「うん!」
「へー、女湯をのぞき見するんじゃねぇぞ!」
「のぞかないよー」
浜野先輩と瀬戸先輩は普通に恥ずかしい話をしていて、神童先輩と速水先輩は顔を赤くして目をそらしていた。
山菜先輩はまったく動じていなかった。
「あーおい!」
後ろから声がしたので振り向いたら天馬と信助がいた。「葵達、今からお風呂?」
「うん、あれ?マサキくんと剣城は?」
「二人は先にお風呂に行ったよ」
「…そうなんだ」
少しがっかり、お風呂に入る前に剣城の顔見たかったな、明日また見れるからいいや。
みんなたまっていたら風呂に入れないと神童先輩が言いようやくみんなお風呂場に着いた。
男子は男湯に女子は女湯に入り、わたし達マネージャーはお風呂に入る準備をし、お風呂につかった。
「ふぅ、きもちー!」
「そうだね」
先輩二人は気持ちよさそうにお風呂を楽しんでいた。するといきなり瀬戸先輩に睨まれてお腹をさわられた。
「うひゃ!」
「まだ、肉なくて羨ましい…」
「水鳥ちゃんおさわり禁止」
まさかの鉄拳ではなくおさわり禁止。わたしは驚きのあまり目をぱちくりさせていた。
「ごめん!ごめん!ついさわりたくなっちゃって」
「水鳥ちゃんもうだめだよ?」
「はーい」
そんなこんなあり、三人で外の露天風呂に入ることになった。中のお風呂から露天風呂までの移動が寒くて、走ったらこけてしまった。
なんてついていない日なんだろう。
そして露天風呂につき露天風呂に体をつけた。さっきの寒さがふっ飛んでいくような気がした。
ついでに雪まで降ってきた。
「よし!ここらへんでガールズトークでもするか!」
「賛成」
「ここでですか!?」
「当たり前だろ、お風呂といえばガールズトークしかない!」
「は、はい…」
「最初は葵!剣城とどこまで行った!?」
「ちょっと先輩、声が大きいですよ」
「大丈夫大丈夫、さぁ、どこまで?」
「一緒に帰ったり、手つないだり…」
「おぉ、いいね!ラブラブ」
友達にも剣城とのことを話したことがなかったのですごく恥ずかしかった。でも、マサキくんには話していた、いろいろと相談にのってくれるし、助けてくれたりもするから。
でもまさか先輩に話すことになるなんて思ってもいなかった。
「キスはまだなわけ?」
「え!」
「それあたしも聞きたい」
瀬戸先輩と山菜先輩がといつめてきた。正直、剣城とはキスをしている、だけどあれは事故のキスそう…事故チュー。
あたしが学校の階段を降りていたときに足を滑らせて転びそうになった、だけど、前にあたしが足を滑らせていることを知らずに階段を上がっている剣城とちょうどぶつかってしまいそのひょうしにキスをしてしまった。
まだ、そのときは剣城と付き合っていなくて、キスをしてから剣城を意識するようになった。
そこから付き合うに発展した。
このことを先輩に話すと先輩は青春だなぁとか可愛いなど言いってくれた。
すると男湯露天風呂から声が聞こえてきた。天馬だった。
「剣城!見てすごいよ!」
「ったく、お前何歳だよ」
「あつたかーい!」
「当たり前」
どうやら天馬と剣城二人のようだ。ここの露天風呂は湯が男湯と女湯で繋がっていている。ついでに、ここの露天風呂は男女湯に竹でできた仕切りがある。
わたしは剣城と同じ湯につかっているのが恥ずかしくなった。
すると瀬戸先輩が天馬に気ずいたのか、天馬に話しかけた。
「おーい、天馬!」
「あ!先輩!」
「天馬も露天風呂に入ってきたのか!」
「はい!あれ、そっちて先輩だけですか?」
「茜と葵もいるぞー」
「剣城、葵いるって!」
ガツン!!
何が当たったような音がした、なんだろう。
「痛いよー!なんで殴るんだよー!」
「ふざけるな」
天馬は剣城に殴られたらしい。天馬が剣城に殴られたあと天馬は信助に助けを求めにパタパタと足音をたてて露天風呂を出ていってしまった。
「「あ」」
先輩二人は空気を読んだように露天風呂をでた。 「どこいくんですか?」
「「トイレ」」
二人息を合わせてトイレと言ったのでわざと抜けたとわかった。先輩二人は露天風呂を出ていった。
剣城と二人、沈黙が続く。わたしから話しかけたいけど恥ずかしいし、あっちから話しかけられても恥ずかしい。
わたしはどうしたらいいのか分からずに露天風呂の湯に顔をつけた。湯に顔をつけても答えはわからないのに。
「葵」
突然、剣城に名前を呼ばれた。
「な、な、なに?」
言葉を噛んだし、声も裏返ってしまった。あまり喋ってないので喋りたいていう気持ちがひっくりかえってしまったのである。
「あんま話してやれなくてごめんな」
衝撃的だった、剣城の口からこんな優しい言葉がでるなんて。
「おい」
あまりにも衝撃的だったので返すのを忘れていた。
「…だ、大丈夫だよ。剣城こそサッカーで疲れてるのに長話して大丈夫なの?」
本当には少し大丈夫じゃない。学校のときは、クラスが違うのであまり喋ってはいない。部活のときは、みんな練習をしているので喋れはい。
今回の合宿では少しくらい喋れると思っていた。だけど、流石は名門の雷門であって練習の時間が半端ではない。へたすれば学校にいるときよりも喋れないかもしれない。
寂しい、寂しすぎ
「別に疲れてなんかねぇし、シードにいたころより楽」
「シード大変だったんだね」
「あぁ」
「そんなに大変だったのに剣城はキャプテンだったなんてすごいね!」
「みんな弱いからキャプテンなんて簡単だった」
「あはは、…あのねわたし、剣城とお話してると幸せな気持ちにるんだ」
本当のことをしゃべった、わたしだって女の子だし好きな男の子と話してるとき幸せにだってなる。「同じ」
「ん?なにが?」
「俺もお前と話してると幸せになる」
なんか剣城っぽくなかった。いつもなら、はいはいと言って終わりそうなのに。
「…剣城だよね?」
「なんでそうなるんだよバカ」
「ねぇ、もう一回言ってよ」
「いわない」
「ケチ」
わたしはそんな気をつかってくれる剣城が大好きです。



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