03
俺は自分の目をごしごしと擦って
もう一度名前の足元を見た。
…透けて、る…?
そんなことをしている俺に気がついた名前は
少し悲しそうな顔をして俺を見た。
『ばれちゃった…?』
「おま…なんで、足…」
聞いちゃいけないと思った。
けど、一度出てしまった言葉は
飲み干せないで、口から出ていってしまった。
『…私、ね…』
俺は気がついた。名前の後ろの通りの
電信柱の下に、お供え物や花が置いてあるのを―
『死んじゃったんだ』
そう一言、こいつはそう言った。
し…んだ…?じゃあ、目の前にいるお前は、いったい…
俺は脳内をぐるぐるとフル回転させる。
「じゃ、あ…目の前にいるお前は…」
『幽霊だよ』
「嘘…だ、ろ…?」
どくんどくんと、心臓の音がやけにうるさい。
嘘だと言って欲しかった。
けど、名前は、首を横に振った。
「ど、う…して…」
『あそこに色々な物が置いてあるでしょ…?
私、あそこで死んじゃったの。即死だった』
名前はすべて話してくれた。
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