中編 | ナノ

02

俺は苦笑いしながら名前の
座っている隣のブランコに腰掛けた。


「何年ぶりだろうな…」

『うーん…と…十年ぶり?』

「そうだったか?」

『だって十年後に会おうって言ったじゃん』


そんなに昔の話だったのか。
でも、約束の日にその夢を見るってある意味すごいよなあ。


『だって私がそうお願いしたんだもん』

「あ?」

『翔くんが忘れてたら、約束の夢を
見て思い出してくれますようにって』


俺はこいつが一瞬何を言っているのかわからなかった。


『翔くん、忘れてたでしょ』

「あっ…いや、そのっ…」


図星で何も言い返せないでいる
俺を見て、名前は笑った。

あ、かわい…いけねえ!!
何がかわいいだ!約束忘れててのん気に
そんなこと考えてるんじゃねえ!!


『翔くんかっこよくなったよねぇ』

「へっ…?」


いきなり言われた、普段あまり
言われない言葉に俺の脳は一瞬フリーズ。


「おま、今なんて…」

『かっこいいっていったの。
一回で聞き取ってよ恥ずかしいなぁ』


そう言って名前は頬を赤くして膨らませた。

それと同時に言葉の意味を
理解して俺の頬も赤くなる。


『翔くん顔赤いよ熱?大丈夫?』

「えっ!?だ、大丈夫だぞ俺は!!」


俺は誤魔化そうとして
手をぶんぶんと振り回した。

ドタッ!


「いっ…てぇ…!」

『翔くん一人で何暴れてるの』


ブランコから後ろの方に落っこちた
俺を見て名前は笑った。

…はっ!見とれてる場合じゃねえ!

俺は笑っている名前の足元にふと目線が行った。


「…は?」


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