中編 | ナノ

04

―名前の部屋―


ピンポーン…

俺は名前の家のインターホンを押した。
少しの間があいた後、「あいたっ」という
声が聞こえて、扉が開いた。

『いらっしゃい翔くん!』
「あ、あ…お前、今ドア開ける時…」
『えっ、聞こえてた?』

名前は顔を赤くして
ちょっと恥ずかしそうな顔をした。
やめろって抱きしめたくなんだろ。

「ああ、聞こえてたぜ?」
『あの、急いでドア開けようとしたら、壁にぶつかっちゃって…』

どんだけ天然なんだよ…。

『…そ、それより、部屋に上がって!』
「あ、ああ、お邪魔します」

俺は靴を脱いで名前の部屋に上がった。
あ、あれこないだ俺が載った雑誌…。

俺は部屋の中をぐるっと見回して、
名前が用意してくれていた座布団に座った。

『コーヒーだよね?』
「あ、わり、ありがとな」

名前はいつも通りに俺にコーヒーを淹れてくれた。
こいつの淹れるコーヒーすげえ旨いんだよな…。

『で、用事って何?』
「ぶふっ」

名前に本題を聞かれて、思わず
口に含んでいたコーヒーを噴出した。

『わっ!?どうしたの翔くん』
「おまっ、そういうのは、俺からっ…」

続きをいいたかったけど、気管に入っちまった。苦しい。
俺が咽ていると、名前が隣にきて、背中をさすってくれた。

「も、大丈夫だ…」
『本当?無理してない?』
「おう…」

こんなことしてる場合じゃねえ…!
ちゃんと名前に言わなきゃ…。

俺は深呼吸をして、さっきまで俺の背中をさすっていた
名前の手を握った。すると、あいつはわかりやすく
顔を真っ赤にしておどおどし始めた。

「俺っ…!」
『う、うん…』
「俺、な…今日、言いたいことがあってきたんだ…」

名前は真剣な表情になって俺が喋り終わるのをじっと待っている。



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