中編 | ナノ

June Bride 翔編


『じゅーんぶらいど?』
「はっ!?知らないの名前!」
『う、うん…』

トモちゃんに言われたじゅーんぶらいど?とか
いうやつの意味がわからなくて、聞き返したら
ありえない…という顔で見られた。

『え…それ重要なの…?』
「えっ、あ、本当に知らないの…」

ちょ、トモちゃん、頭抱えないで。

「あんた普通に頭いいのにどうして
そういうところ抜けてるの本当に…」
『え?頭いい?抜けてる?』

話が脱線してきた。トモちゃんに
じゅーんなんたらというのがどういうものなのかきいた。

「あのね、ジューンブライドっていうのは、
女の子なら一度は憧れると言われてるものよ」
『brideって花嫁だよね?』
「そう。で、Juneは?」
『六月。だから…六月の花嫁…?』

六月の花嫁って何か特別なのだろうか…。

「直訳すればそうなるけど、本当は6月に結婚した花嫁は幸せになれるというんだって。もともとはヨーロッパからの伝承らしいよ」
『トモちゃんどうしてそんなこと知ってるの』
「調べたからよ!」

トモちゃんはそう言って私に携帯を見せた。
あ、本当だ。なんか続きもある…。

 その由来は諸説があり、
(1)6月すなわちJune という月名が、ローマ神話の結婚を
つかさどる女神であるジューノ "Juno"(ギリシア神話では
女神ヘラもしくはヘーラー)からきているため婚姻と
女性の権利を守護するこの女神の月に結婚すれば、
きっと花嫁は幸せになるだろう、とあやかってとする説
2)その昔、ヨーロッパでは、3、4、5月の3ヵ月間は
結婚することが禁止されていて6月は結婚が解禁になる月であるため、
6月になっていっせいにカップルたちが結婚し、
周りの人達からの祝福も最も多い月だったとする説。
(3)ヨーロッパの6月は1年中で最も雨が少なく
良いお天気が続くため、はつらつとした季節の始まり、若者の季節と
呼ばれ季節的環境がベストな月であり、 加えて復活祭も
行われる時期であることから、ヨーロッパ全体が祝福ムードで溢れ、
6月の花嫁は幸せになれるとする説などがあります。
――うーんそういうことだったんだ。

『幸せになれるから憧れるの?』
「そりゃそうでしょ?」
『…でも、好きな人と結婚できるなら
それだけで十分幸せだと思うけどなぁ…』

私はぽへーっとしながら言った。
だけど、トモちゃんにはその言った言葉に反応した。

「好きな人と結婚できるから幸せ…じゃあ六月に
結婚できたらもっと幸せになれるかもとか思わないのあんた」
『…あ』

私はトモちゃんに言われたあとに気がついた。

『確かにそうだね』
「…本当、あんたって抜けてるというか、天然だね…」


だからトモちゃん、頭抱えないでってば。



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