桜の木の下で


『やっぱり大きいなぁ…早乙女学園』


今日は入学式。

あれから暫く昔の思い出に浸ってしまって、
気がついたら夕方になっていてしまった。
(案の定お母さんに叱られちゃったよ)


…アイドルかぁ…

翔くんも日向龍也主演のケンカの王子様を
見て憧れてたなぁ…。

…いけない、またこの調子でいくと
入学式に遅れちゃう。


名前は立ち止まっていた足を進めた。


―ザアァ…


『わぷっ…桜が…』

すごい、桜吹雪ってこういうことを言うんだね。
目の前が桜だらけ…ん?


名前は桜が舞う中で一人、木のところで
飛び跳ねている人を見つけた。


金髪…翔くんと同じ…。
あ、木に引っかかってる帽子取ろうとしてるんだ…。


名前が視線を少し上にあげるとそこには
その子の帽子らしきものが木の枝に引っかかっていた。


名前がぼーっとしてその子を見ていると、
風が吹いて木に引っかかっていた帽子が
名前の方に飛んできで、名前の顔を覆った。


『ぶっ』

何コレ酷い。どうして顔面なの。
変な声出ちゃったじゃん。


名前は顔に被さった帽子を取った。


「ごめん!それ俺の帽子なんだ」

『あ、はい…』


―ザァアアァ…―



目線が合った瞬間、心臓が止まるかと思った。




"名前!"




私の記憶の中の彼が、私を呼んだ声がした。




続く




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