桜の木の下で
![](//img.mobilerz.net/sozai/1645.gif)
『やっぱり大きいなぁ…早乙女学園』
今日は入学式。
あれから暫く昔の思い出に浸ってしまって、
気がついたら夕方になっていてしまった。
(案の定お母さんに叱られちゃったよ)
…アイドルかぁ…
翔くんも日向龍也主演のケンカの王子様を
見て憧れてたなぁ…。
…いけない、またこの調子でいくと
入学式に遅れちゃう。
名前は立ち止まっていた足を進めた。
―ザアァ…
『わぷっ…桜が…』
すごい、桜吹雪ってこういうことを言うんだね。
目の前が桜だらけ…ん?
名前は桜が舞う中で一人、木のところで
飛び跳ねている人を見つけた。
金髪…翔くんと同じ…。
あ、木に引っかかってる帽子取ろうとしてるんだ…。
名前が視線を少し上にあげるとそこには
その子の帽子らしきものが木の枝に引っかかっていた。
名前がぼーっとしてその子を見ていると、
風が吹いて木に引っかかっていた帽子が
名前の方に飛んできで、名前の顔を覆った。
『ぶっ』
何コレ酷い。どうして顔面なの。
変な声出ちゃったじゃん。
名前は顔に被さった帽子を取った。
「ごめん!それ俺の帽子なんだ」
『あ、はい…』
―ザァアアァ…―
目線が合った瞬間、心臓が止まるかと思った。
"名前!"
私の記憶の中の彼が、私を呼んだ声がした。
続く
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