短編 | ナノ


  失われた君との時間


学園を卒業する時にお前とした約束

―俺が18歳になった時に結婚しよう―

お前は泣きながら俺に抱きついて"嬉しい"と言ってくれた。


…そのお前は、もう、俺の隣にはいない―


俺たちは、無事に卒業オーディションに合格して、芸能界へと一歩踏み出した。

名前はアイドルコースと作曲家コース両方選んだという珍しい生徒だった。
アイドルコースは七海と、作曲家コースでは俺と組んだ。

名前は両方ともやってのけて、シャイニング事務所に俺と一緒に所属した。
俺のための曲を作りながら、アイドルとしても活躍するあいつ。

主にドラマなど、演技を生かす仕事が多く入っていた。

名前の演技はすごい。

喜ぶ演技、怒る演技、悲しむ演技、楽しむ演技、泣く演技など、
本当に心を揺さ振る演技をするやつだった。

そして名前はとあるドラマに出演することになって、
暫く事務所の寮に帰らなかった。


…いや、帰ってこなかった。


ドラマの撮影が終わって、一日、二日、三日、一週間、二週間と、
いくら待ってもあいつは帰ってこなかった。

俺は心配になって、あいつが出たドラマの監督に聞きに行ったら、
崖から飛び込むシーンの撮影中に、本当に海に飛び込んだらしい。

昔から演技にはこだわっていた名前らしい行動だなと俺は思った。

そしてあいつは海に入ったまま行方不明になってしまったらしい。

それを聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。


帰り道、ビルに移るとある商品のCMが流れていて、虚ろな瞳のまま、無意識に見た―


そこにいた―名前という、あいつと同じ名前の女優は、
すごくいきいきした演技をしていた。

演技の仕方や仕草が、あいつと重なった。


ドンッ


「って…」

『あっ…いたた…』

「わ、わりい、だいじょう…ぶ…か…」

『ちょっと!そんなところで仁王立ちしてないで…』


俺にぶつかってきた女は―








反省
ちょっと長くなりすぎた。



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