短編 | ナノ


  02


「おや…オチビちゃんが俺と同じくらいの身長に…」
「本当に翔、ですか…?」
「なんだよお前らその目!!」

教室に入るとトキヤとレンが話しかけてきた。

「中身は子供のまま…ですね」
「おい、どういう意味だそれ」
『翔、くん…?』

後ろから声をかけられて、振り返る。
声の主が見当たらないと思ったら、
袖をくいっと引っ張られて、下を見た。

「あ、名前…?」
『しょ、翔くん…だよ、ね…?』

目線を少し下に向けると、みんなに内緒で
付き合ってる俺の彼女の、名前の姿が―
こいつ、こんなに小さかったっけ…?

「ど、どうしたんだよ?」
『あの、翔くんに楽譜…』

顔を真っ赤にしながらおずおずと
俺に楽譜を差し出す名前。
かぁ〜わいいなぁ〜…今すぐ抱きしめてぇ…。

でも、名前は俺と目を合わせようとしない。

「なあ、どうして俺の目見てくれねえの?」
『だ、だって…お、大人な翔くんが、
かっこよすぎて…ち、直視できないから…』

…反則だろそれ……

『きゃっ!』

俺は名前の手を引っ張って
誰もいない空き教室に入った。

『しょ、翔くん…?』
「ごめん、我慢できない」
『んんっ!?』

俺は名前の肩をつかんで
少し屈んで名前にキスをした。

『んぅ…はぁっ…』
「…はっ」

うわっ、口の端から涎垂れてる…エロ……

『い、いきなり何するの!』

名前は翔の胸をドンドンと叩いて怒っている。

顔を真っ赤にさせながら
瞳の縁に涙を溜めて怒られても…

「…何?いつもよりドキドキした?」
『なっ……』

あ、タコみてーに真っ赤になった。

『お、大人翔くんのばかぁ!』
「照れてんのか?」
『うるさい!』

そのあと何回か触れるだけのキスを
してやったら泣き出しちまったから
これ以上いじめるのは可哀想かと
思って一緒にクラスにかえった。



―――――――――……………



「…すげえ、本当に元に戻ってる」
「あ!翔ちゃん!元に戻ったんですね!」
「那月!やめっ…ギブギブギブ!!」

次の日の朝、起きて鏡を見たら俺は元の身長に戻ってた。
あーあ、あのままがよかったな…。

俺は支度をして学校に行った。


「お、オチビに戻ってるね」
「うるせー!チビって言うな!」
「ですが…この方が落ち着きますね」

お前等の中では俺がチビキャラってなってんのか…

「ちょっと背が高いからって…!」
『おはよう翔くん…あ、身長元に戻ったんだね』
「お、おう…」

名前に話しかけられて俺は名前の方を向いた。
…やっぱり、元の身長だとそんなに身長かわらねえな…。
俺が落ち込んでると名前は俺の目を見た。

「え、な、なんだよ…」
『やっぱり、翔くんはこの身長がいいなぁって思って…』
「……なんで」
『だって昨日の翔くん、私の知らない
翔くんだったから…寂しくなっちゃって』
「え…」

名前はもじもじと下を向いた。

『急に翔くんだけ大きくなって、
置いていかれたらどうしようって…』
「俺がお前を置いてなんて行くわけねえだろ!」
『本当?』
「ああ!」

そう言うと名前は嬉しそうに笑った。

焦って大きくなっても、いいことなんかない。

一緒に、成長していけばいいんだ。






end




ぐだったなにこれ…(泣)



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