短編 | ナノ


  一目惚れも恋のうち


今日は早乙女学園に遊びに来ました。
と言っても本当は従兄の翔ちゃんのところに
預かってきた荷物を渡しに来ただけなんだけど。

私は男子寮のところで翔ちゃんを待っていた。

「名前!」
『あ、翔ちゃん!』

名前を呼ばれて振り返ると、帽子を被った男の子、
翔ちゃんが手を振ってこっちにあるって来ていた。

『久しぶり!翔ちゃん!』
「おう!いつ振りだ?」
『んー…学園はいる前に一回あってるよ』

…はっ!話し込んでる場合じゃない。
私は翔ちゃんに持ってきたものを渡そうとした。

ドタドタドタドタドタドタ…

鞄をごそごそしていると、
廊下を走るような音がしてきた。

「しょーうちゃーん!!」
「ぐっは!!」

どーんと言う衝撃音と共に、目の前にいた翔ちゃんが消えた。

『え、翔ちゃん…?』

辺りを見回すと、大きい人に
抱きかかえられて悶えてる翔ちゃんが―

「な、那月!はーなーせぇええぇえぇ!!」
「翔ちゃん今日もかわいいです!ぎゅー!」

バキッ、ボキッという、普通はぎゅってした時
とかに鳴らない音が翔ちゃんの体?からしてきて、
翔ちゃんの体から力が抜けた。

翔ちゃんを抱きしめていた人が、こっちをみた。

「うわぁ〜!!翔ちゃんがもう一人!!」
『えっ…えっ!?』

その人は翔ちゃんを抱えたまま私も一緒に抱きしめた。

『は、放してください!翔ちゃん!しっかりしてー!!』


―――――――………


「ごめんなさい!!」
『あ、いえ…』

私に抱きついてきた人、四ノ宮那月さんは
ミルクティー色のふわふわな髪の毛を
揺らしながら私に頭を下げた。

翔ちゃんと同室の四ノ宮さんは
本当に申し訳なさそうにしている。
なんか私が悪いことしたみたい。

「でも本当にかわいいですよねぇ」
『あ、あの…』

四ノ宮さんはすぐに立ち直ったようで私を抱きしめた。

「あ、髪の毛いい匂いがします」
『しょ、翔ちゃ…』

翔ちゃんに助けを求めようと翔ちゃんの方を見たら、
イヤホンをして音楽を聴きながら雑誌を読んでいた。

あれ、翔ちゃん酷い。私のこと見捨てたな。

「僕、名前ちゃんのこと好きになっちゃいましたぁ」
『えっ』
「一目惚れですよぉ」

四ノ宮さんは柔らかくニコッと笑った。
カッコいいけど…その…一目惚れって…。

四ノ宮さんが私をぎゅうっと抱きしめた。
さっきみたいな強い力じゃなくて、優しく包み込むように。

顔に熱が集まる。多分今鏡を見ると私の顔は真っ赤。


私もきっと、一目惚れをしてしまった。

ふわふわしていて、優しくて、とても優しい、四ノ宮さんに…―


『し、四ノ宮さん…!』
「はい、なんですかぁ?」


私も、伝えたい。自分の、今の気持ちを―




end



prev / next

[TOP]



このサイトは「うたの☆プリンスさまっ♪Debut」を応援しています。
うたの☆プリンスさまっ♪Debut 四ノ宮那月(CV.谷山紀章)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -