短編 | ナノ


  俺はほだされない


「名前ちゃん今日もかわいいです!!」


あああもうっ!本当になんなんだこいつは!!

俺に抱きつきながら頭を撫で回す那月の手を叩いた。


「いたっ!…もう、酷いです」

『何が酷いんだ!俺は嫌だって言ってるだろ!』

「またそんな言葉を使って!名前ちゃんは
女の子なんですから、ちゃんとした言葉を使ってください!」

『うるさいうるさいうるさーい!!』


女だからこういう言葉を使っちゃ駄目なのか!?
意味わかんない!女だってこういう言葉を使うんだよ!

俺は那月の言葉にイライラしながら
那月を引きずって歩く。重い。実に重い。


『那月、自分の足で歩け』

「名前ちゃんが女の子らしくなったら離れます」


うぜえそしてめんどくせえ!!

俺は那月を引きずったままクラスに入った。


「四ノ宮!苗字から離れろ!結婚前の婦女子になんてことを…!」

「あ、あ、いいないいな!俺も俺も!」

『音也うるさい』


教室に入ると、赤と青…違った、音也と真斗が話しかけてきた。

音也を軽くあしらい、真斗の隣に座った。
もちろん、那月は俺を抱きしめたまま。


「音也くんだめですよぉ 名前ちゃんに
抱きついていいのは僕だけなんですから」
『そんなわけねえだろわけわかんないこというな』


那月の変な言葉にすかさず突っ込みをいれる。


『誰か那月を剥がしてくれよ』

「無理だな…俺の力では四ノ宮の力には敵わない…」

「わーい苗字ぎゅー」

「あ!音也くん離れてくださいよぉ」

『お前ら二人とも離れろ』


誰かこいつらなんとかしてくれ。


『なあ、那月はどうして俺を女扱いするんだよ?』

「どうしてって…女の子だからですよぉ」

『こんな言葉使ってんのに?』

「僕にとって名前ちゃんは会った時から女の子ですよぉ」


その言葉に一瞬ドキッとした。

小さい頃からこういう喋り方だったから、
男女と呼ばれたこともある。

…はっ!ほ、ほだされるな俺!!


『それより離れろー!!』

「あ、名前ちゃん顔赤くなってますよぉ」

『うるさいっ!!』



なんだかんだいって、結局最後には那月を許してしまってる俺も、そうとうあれだよなと思いながら今日もまた一日が終わる―


結局俺は、那月のことが好きなんだと思う。




end



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