図書館企画ブログ | ナノ





 涙雨祭日はゆるやかに降る雨のなか終わりを告げた。雨音に霞む鐘の音が響く。一度高まった魔力はなかなか消える事がないが、水属性の魔法生物の騒ぐ声が12時を境に小さくなっていく。図書館前広場に置かれた子供が入りそうな大きさの木箱には、集まった涙雨石が溢れんばかりに積まれていた。

「よォーしご苦労さん、例年の倍集まったって商工会の連中狂喜乱舞してたぜ」

 涙雨石はわんわんに集めさせ、自身は追い剥ぎしたり魔法生物をけしかけたりと楽しく遊んでた枝折は笑いながら言った。フィズは疲れたように言う。

「盗ったものは返すんですよ?」
「判ってんよ、お遊びだ」
「といいますか、服を返して下さい」
「悪ィ。どっかに置いてきちまった」
「…………」
「しっかしまァ……どいつもこいつもずぶ濡れだな?」

 追い剥ぎ被害者のひとりであるフィズの咎める目線を無視し、幾人かの、魔法生物に水をひっかけられ文字通り芯まで濡れているものを見る。そこまではいかずとも、涙雨石を持ってきた面々は、裾や袖などどこかしらが濡れているものが大半だ。それらを睥睨して、にたりと枝折は胸の谷間から一枚の紙を出した。

「今どこから出したんです!?」
「一度やってみたかった。さておき野郎ども!!朗報だ、商工会の連中が手前らの働きに感謝して銭湯を無料解放してくれるそうだ。あったまって帰れ。明日から普通に仕事だぞ仕事!」


 その紙はどうやら念書であるらしい。冷えた体をかかえて喜ぶもの、何か別の事を考えてか雄叫びをあげるもの、むしろ早く家に帰りたいもの、反応は様々であった。
 かくして銭湯での涙あり笑いありの騒動が始まった訳である。ポロリは、無い。


――――――

皆さんご参加ありがとうございました!
さてさてお疲れ様の意をこめてアフタースタートでございます。
13日の月曜日終日まで涙雨祭日スレッドはそのまま銭湯アフター会場になります。ポロリは無しでこちらのスレッドに銭湯ネタの作品を投稿して下さいませ!
特典やイベント等は特にありません。のんびりまったりとしたペースで創作のネタにして頂ければ!と思います。

それでは改めましてご参加ありがとうございました!






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