図書館企画ブログ | ナノ






「これで全部ですか」「ああ」アルニコの問いに兄弟子は頷いた。昼過ぎから作業が始まり、全ての梱包、船への積み込みが終了したのは翌日の朝の事だった。交代で休みながらの作業だったは言え、予想を上回る蔵書の数に時間がかかった。帰路は船で約40分、そこから陸路で1時間、それが終われば一段落と言える。積み込みが終わったのを見届けて、仇介が2人の弟子に向かって言った「この島まで盗賊がくるかもしれません、護衛を残していきます」。蔵書全て運び出すとは言え、それを知らない賊、残りを狙おうとする賊、可能性はいくらでもある。「いいえ」首を振ったのは妹弟子だった。「私は攻撃魔法を使えますので、兄弟子とお師匠様のお墓を守るくらいなら……」「いや、護衛をお願いしたい」妹弟子の言葉を兄弟子が遮る。一行は少しばかり驚いた。今までの言動から、反対するにしろ、てっきり逆だと思っていたのだが。



「それじゃあ――アルニコ、頼めるか」司書の面々を見回し、仇介は言った。「俺…ですか」問う口調で言ったアルニコに仇介は答える。「ああ。さっきからやってみてたんだが、どうにも魔法がうまく使えない」「お師匠様の結界のせいですね」「おそらくは」妹弟子に頷いてから続ける。「だったら戦士のアルニコが適任だろ。歪は長期任務には向かないし、刻雨は…まだ単独任務はな」肩をすくめて仇介はそう締めくくった。「了解しました、よろしくお願いします」アルニコは重々しく諾意を示し、後半は2人の弟子に向けて言う。2人の弟子は無表情で、それを受け入れた。


※補足的な
仇介さまの口調が対弟子ズの時のみ敬語なのは、班長ですしそういう時は敬語かなーと思ったからでして。
わりとかなり寒い土地をイメージしてましたのでその意味でも歪さま刻雨くんはつらいかなーと。
あと短期の遠征は日帰りとかはっきりわかってる場合を除き、基本的に全員最低一週間程度はなんとかできる装備をしてから向かうイメージです。なので突然任期が伸びてもなんとかできると。





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