ひとりきり | ナノ



これを邂逅と名付けるにはどうやら足りないものがあるらしい




 *0 天運



「マスターズブックの解析、な」

 申請書を片手にぶら下げ、彼女は面白くも無さそうにそれを見た。手の平に汗を握る。
 念願だった。夢だった。どうしてもやりたい事だった。しかし司書試験に合格して1・2年の新人の要望が通る甘い職場ではない。それなのに何の運か、こうして最高権力者を眼前に出来ている。幸運か悪運か判らないが、やがて彼女はにやりと笑って俺を見た。

「オーケィ、面白そうだ。図書館館長の名において許可しよう。だがなァひよっこ、あいつァ手強いぜェ?」

 そうして彼女は指を鳴らす。何かが弾ける音と同時に、目の前に鈴のついた青い鍵が現れた。

「10階、21番書庫、a架。心してかかれよ、ひよっこ」




 *1 経験
 *2 思惑
 *3 運命






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図書館企画/塒原さま宅マルギットさまと拙宅寧幽の出会い編
マルギットさまと旦那宅フィズさまお借りしております

11/02/08




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