※プリン視点


「やだッ!?ユウナちゃん!しっかりして」

その場に倒れてしまったユウナちゃんを抱えようとした瞬間、兄さんの整った筋肉質の身体が見え思わずドキッと胸が鳴る。

カタクリ兄さんは両手で優しくユウナちゃんを抱えてママの部屋を出ていってしまった。


私は慌てて兄さんの後を追うとママの楽しそうな笑い声が部屋中に響いた。


きっと兄さんは嫌がると思っていたので正直この状況についていけない。
兄さんは兄妹には優しいが敵には凄く怖いから。
ユウナちゃんが可哀想だと思ったのだろうか。


カタクリ兄さんは私の部屋に入り、ベッドの上にユウナちゃんの身体を優しく置く。
まだ目を覚まさない彼女の姿を見て不安になった。

「・・・ユウナちゃん」

「しばらく休ませてやれ。疲れが溜まっているようだ。・・・それよりプリン、お前は魔獣を見たのか?」

カタクリ兄さんは壁に寄り掛かり鋭い視線で私に聞いてくる。

「えぇ、小さなボールの中に入っていたわ。私が見た魔獣は小さくて可愛かったけど。でもユウナちゃんはそんな魔獣を五匹ほど携えているみたいよ」

ほら、とユウナの鞄の中から上半分が赤色、下半分が白色。
境目の部分に丸いボタンが付いているボールを取り出し兄さんに見せた。

「そのボタンを押して放り投げると魔獣・・・ポケモンちゃんが出るみたいだけど御主人じゃなきゃ反応しないみたいなの」

兄さんはボールを回して見るが何の反応も無し。


噂によると炎や水、念力を使う魔獣がいるらしいが。


「・・・使えそうか?」

「えぇ、きっとね。記憶さえ戻らなければ私達の役にたってくれるはずよ。それより兄さんッ、ユウナちゃんと結婚するの!?」

「・・・・・おれに拒否権は無い」

流石の兄さんでもママの命令には逆らえないみたいだ。


ーーー私もそうだから。


「・・・そう。良い子だから大切にしてあげてね」

兄さんに紅茶を出すが飲まずに部屋を出ていってしまった。

残った紅茶を飲み、前髪を上げてニトロとラビヤンに話しかける。
ユウナちゃんは未だに眠りから目を覚まさない。

「ママの命令じゃないきゃ、きっと兄さんは結婚の件を断ってたのよね」

「そりゃそうさ!」

「ぎゃははッ!」

「・・・可哀想なユウナちゃん。記憶を失って仲間も裏切って初めて会った男性と結婚させられる。こんな不幸な子見たことがない」

「カタクリ様もかわいそーッ!」

「そうねェ。まぁ兄さんはユウナちゃんを気に入ったみたいだし。まさか抱き抱えるなんて思わなかったわぁ」

妹達から絶大な人気の兄さんと結婚するなんて、今後が大変だわ。
きっとフランペから批判と嫌味を言われるのだろう。

「憂鬱だわ・・・」

「どうしたマリッジブルーか!?ギャハハハ!!」

「もしユウナちゃんの記憶が戻ったら・・・記憶を消さなきゃいけない・・・それを考えるとすっげー面倒くせェ」

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