
『・・・・・カタクリ・・・様・・』
仰向けで血を流しながら倒れているカタクリ様の姿を見つけた。
口元にはルフィさんが被っていた黒い帽子が置かれている。
割けた口元を他の人に見られないよう配慮して置いたのだろう。
よろよろとした足取りでカタクリ様の元へ向かい手を触ると生温い血がべっとりと私の手に付いた。
『ーーーっ!』
涙が溢れ零れ落ちてくる。
裂けている口元を隠すために巻いていたファーを外し、全力で立ち向かいルフィさんと戦ったのだろう。
怪我の治療をしたいけれどサニー号にいる仲間達が迎えに来るまでの時間が無い。
ーーーだけど
出血が多く傷だらけのカタクリ様をこのままにしておくことが出来ず、モンスターボールを投げた。
「アシェ♪」
モンスターボールから出したのはアシレーヌだ。
アシレーヌは仰向けに倒れているカタクリ様を見ると驚き切ない表情を浮かべる。
『アシレーヌ、アクアリング』
「アシェッ!」
水のリングを纏い、少しずつ体力を回復するという効果がある。
私は着ていたドレスの裾を破り、水で濡らした後に血を拭き取り、鞄から傷薬を取り出し消毒をしていると唸り声が聞こえてきた。
『っ!カタクリ様・・・』
小さな声で名前を呼ぶとゆっくりと瞼を開きこちらを見る。
燃えるような赤い瞳と目が合いドキンッと胸が鳴った。
「・・・・・ユウナ」
私の名前を呼び小さく微笑むと安心したように眠りにつく。
ぽろりと一筋の涙を流しながらカタクリ様の唇に触れるだけのキスをする。
最初で最後の私からの口づけ。
『さような・・・』
その時、結婚式での誓いの言葉を思い出した。
ーーー愛と忠実を尽くすことを誓いますか
『・・・っ!』
もう二度とカタクリ様と会うことは無いだろう。
私は別の世界の人間であり、決して交わることはないのだから。
でも、だけど・・・本当にこの人の傍にいなくて良いの?
ふと黒髪の目の隈が印象的な細身の男性ーーーローさんの事を思い出した。
初めて会った時からずっと大好き・・・だった。
『ーーーごめんなさい』
私はこの人と共に生きます。
震えた声で呟き、涙を堪えながらカタクリ様の傷口を布で縛る。
『出てきて、イーブイ』
「ブイ!」
モンスターボールから姿を現したイーブイ、そして傍で傷の手当てをしているアシレーヌに対して頭を下げる。
『私はここに残るね。イーブイとアシレーヌにお願いがあるの』
イーブイとアシレーヌは私の指示を聞くとその場から離れる。
ルフィさんの元へと行かせた。
あの二匹ならルフィさん達をホールケーキアイランドから逃がす事も可能だろうと判断したためだ。
お別れの伝言は頼んだから、大丈夫だろう。
視界がぼやけるのは涙が溢れてくるからだ。
本当にルフィさん達とのお別れーーー
私は、カタクリ様の元にいる事を決めた。
「・・・・・・ユウナ」
『カタクリ様・・・っ!目が覚めて良かったです』
薄っすらと重い瞼を開けながらこちらを見つめる彼の瞳は凛としている。
「麦わらは・・・・・・」
『・・・・・聞いたら良かったって思いますよ』
「ユウナも未来が見えるのか?」
『はい・・・さっきナワバリを出たみたいです』
ふふっと微笑みながら答えるとカタクリ様は不思議そうにこちらを見つめる。
「・・・・・何故行かなかった?」
その言葉に息が詰まる。
『一緒にいるって・・・決めたからですよ』
「・・・・・そうか」
このままここに残るということは麦わらの一味がした事の責任を負うことになるだろう。
最悪死さえありうるーーーだけど
「・・・・・傍にいる」
『・・・・・・・・はい』
世界の命運?
責任による死により別れるかもしれない
でも、そんなのどうでもいい。
今ここにいる事に意味があるのだから。
『愛しています・・・カタクリ様』
ーーーさようなら
携帯獣×海賊 旧編 END
【あとがき】
旧編は、カタクリエンドで終わります。
最後まで主人公のお相手をローにするかサボにするかカタクリにするかで迷いましたが、
この状態のカタクリを残して去るのは薄情すぎる為、この終わりとします。
世界が大変な事になってますが、恋に落ちた二人には周りの事など一切興味も無く関係ないという感じですね。
(登場キャラと設定がややこしくなってしまったので、この話は終わらせたかったのが本音です…)
カタクリとユウナちゃんのその先は困難でツライものになりますが、二人で幸せに生きれる事を願います・・・。
その後の話は執筆するかは未定ですが、
予定では麦わらの一味がした責任を負う⇒監禁⇒カタクリが助ける⇒拒否⇒監禁が続く中、黒ひげ海賊団がプリンを攫う⇒ビッグマムワノ国で死亡?⇒監禁が解かれる⇒カタクリと共にホールケーキアイランドで過ごす
みたいな話になると思います。
最後になりますが、ここまで携帯獣×海賊夢小説を読んでくださり有難うございました。
良ければ新作も執筆中ですので、読んでいただけると嬉しいです。
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