カタクリ様に抱えられ、社の中へと連れ込まれた私は『放して下さいっ!』と声を上げると唇を塞がれた。

『〜〜〜ん!』

カタクリ様は口元を覆っているファーを下げて私を抱き締めながら、無数の牙と唇が私の唇に合わさった。


くちゅくちゅと舌が絡み合い声が漏れる。

『や・・・ぁ』

「ん・・・ユウナ」

『・・・っ!いや!』

唇を放し、筋肉質の胸元を叩くとカタクリ様の身体がビクッと震えた。
鋭い赤い瞳と目が合い身体が小さく震えさせると再び唇を塞がれる。

『・・・あっ!ん!』

長い時間唇を塞がれ、呼吸が苦しくなった頃に離されると銀糸が二人を繋いで、ぷつりと切れた。


『はぁ・・・んっ』

肩を大きく動かしながら呼吸しているとカタクリ様は熱くなっていた私の頬に手を触れさせ、名前を呟いた。

「・・・・・ユウナ」

切なそうに眉を下げて頭を優しく撫でる彼の姿に思わず堪えていた涙が溢れ落ちてしまった。

『カタクリ様・・・私は貴方の敵です。私は貴方を・・・ビッグマム海賊団を裏切りました』

「何故だ・・・?何故裏切った」

カタクリ様に抱き締められながら呟く。
ルフィさんとあれほどの戦闘をしたのにカタクリ様の身体には傷ひとつない。

『・・・私がウルトラホールを通ってきたFallだからです』

「Fall?」

頭を傾げるカタクリ様に声を震えさせながら説明する。


ウルトラホールとは、こちらの世界とウルトラスペースを繋ぐ入り口のようなものであり、ウルトラホールを通った人間のことをFallと呼び、ウルトラホールを通る際に浴びたエネルギーによって、別のウルトラホールと勘違いしたウルトラビーストが引き寄せられ攻撃的になることを。


『・・・ウルトラビースト(UB)は突如として出現した未知のポケモンの総称で、人やポケモンの脅威となりうる存在として恐れられています。計り知れない力を持ち、人を喰い殺したという話も聞いたことがあります。そんな危険な生物をここに出現させるわけには行かないんですっ!分かってくださいカタクリ様・・・』

涙を溢しながら説明をするとカタクリ様はため息を吐き、私の頬に手を触れさせた。


「・・・おれが負けると思うのか?」

『それはーーーっ!』


確かにカタクリ様ならウルトラビーストを相手に出来るかもしれない。
だけど他の人は?
いきなり目の前に未知の生物が現れた際に驚き恐怖するだろう。


「おれがユウナを守る」

ぎゅと抱き締められ思わず頬を赤らめてしまうが、やはり一緒にはいられないと思い涙を流す。


私はビッグマム海賊団を裏切ったのだから。
カタクリ様が許しても他の人は家族はビッグマムは絶対に私を許さないだろう。
私に何かあれば一緒にいるポケモン達も危険に晒してしまうかもしれない。


「・・・茶を入れてくれるか?」

カタクリ様は微笑みながら、すっかり冷めてしまっているティーポットを私に渡す。

『・・・はい』と受け取り、アイスティーをカップに淹れるとカタクリ様は私の膝の上に寝転びながら裂けた口を大きく開きドーナツを頬張り始めた。

「ああドーナツ。うましドーナツ!」

美味しい美味しいと言いながら巨大なドーナツを頬張るカタクリ様の頭を無意識に撫でると彼はこちらを見て微笑んだ。

「ユウナも食べるか」

『いえっ!』

フフッと優しく微笑むカタクリ様は本当に優しい。
先程ブリュレさんが言っていた言葉を思い出してしまう。


人生で一度も横たわった事がない。
いつも冷静で強く全てが完璧な人間。



ーーー違う。カタクリ様は家族を守るためにそう演じているだけなのだ。



ポタリ…ポタリ…


額から血が垂れてきた。
鏡世界に連れてこられた際に壁に叩きつけらた際に出来た傷がまた開いてきたようだ。


「ユウナ・・・っ!血が」

『え・・・?あ・・・大丈夫ですよ』

「・・・すまない」

『カタクリ様のせいじゃ・・・っ!』

こんな私に怒らず優しく接し、心配してくれている。


本当はこのままずっとカタクリ様と一緒にいたい。
優しい旦那様と暮らして彼の子供を生んで喜ぶ彼の姿が見てみたい。


だけどその願いは叶わない。
だって私はFallであり、住む世界が違う異世界人なのだから。



ポロポロと涙を流しながら唇を噛み締めると血の味がする。

「・・・ユウナ」

『カタクリ様・・・』


私は幸せにはなれない。
沢山の人をポケモン達を傷つけてきた私は罪を償わなくてはならないのだから。


この言葉を言ったらカタクリ様に嫌われてしまうだろう。


自分を騙して嘘をついてーーー涙を流しながら呟いた。


『私は・・・カタクリ様が嫌いです』

「・・・っ!」

私の肩に置いている手が小さく震えた。
彼の動揺が伝わってくる。



この先、カタクリ様に好きな人が出来るかもしれない。
私のことなんて忘れてその人と幸せになってほしい。
異世界人であり、罪人である私にはあなたとずっと一緒にいられないから。

だから


ーーーごめんなさい。



そう言おうとした瞬間に社の屋根が破壊された。



ボコォン!!



「像銃!!!」

社の屋根がルフィさんの巨大化したゴムゴムの手で破壊された。

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