
姿を現したのはビッグ・マムでは無く、誘惑の森のホーミーズを捕食しながらこちらに向かって来る巨大な生物
「ドカグイイ!!」
腹部にとてつもないほどの大口を持ち、さらにその口からは竜の首のように鋭い牙口がある2本の舌が伸びている魔獣ーーーアクジキングだった。
「何だコイツ〜〜〜っ!!?」
「「「ぎゃあぁぁあぁあ!!!」」」
『・・・アクジキングっ!』
竜の首のように鋭い牙口がある2本の舌で誘惑の森の樹木やホーミーズ達を次々捕らえ腹部にある大口に放り込む。
「ビッグ・マムじゃないの〜!!?」
きゃー!と泣き喚くキャロットちゃん達にあれは魔獣(ポケモン)であり、ウルトラビーストの一種であると説明する。
『コードネームはGLUTTONY(暴食)。口に放り込められる物なら何でも喰らい尽くすほどの悪食で、起きている間は常に目の前にあるものを有機無機問わず口の中へ放り込み続けていると言われています』
「ビッグ・マムよりヤバいヤツじゃないっ!!」
ナミさんは顔を青ざめながらクリマタクトを握り締める。
未だに雷雲を食べ続けているゼウスはアクジキングを見ると「ん〜?あんなホーミーズいたかなぁ?」と呑気な事を呟いていた。
『食べたものを一切他に還元せず、ただひたすらに膨大な消費のみを繰り返します。その在り方は生物というよりは、意志を持ったブラックホールという表現が近いかもしれません』
「ようわからんが」
「とにかく逃げるぞ〜〜〜!!!」
「「いやぁぁああ!!!」」
『オーロット!モンスターボールに戻って』
「ロット」
頷くオーロットを見た私はモンスターボールに戻し、サニー号がある南西の海岸へ向かって走り出す。
背後からはズシーン・・・ボコボコボコと地面が裂ける音が鳴り響く。
「ビッグ・マムだけでも厄介なのに・・・っ!!」
「全くだっ!」
「でもなんでここに魔獣がいるの???」
キャロットちゃんの言葉に走りながら答える。
『・・・私がウルトラホールを通った人間、Fallだからです』
「「「Fall???」」」
皆は走りながら頭を傾げる。
『はい、ウルトラホールを通る際に浴びたエネルギーによって、別のウルトラホールと勘違いしたウルトラビーストの帰巣本能により攻撃的になると聞いたことがあります』
「・・・ということはアイツはユウナちゃんを狙ってんのかァ〜〜!!!」
許さーん!!!と怒り狂うサンジくんに対してナミさんは「大声を出したら気づかれちゃうでしょ!?サンジくん!!」と声を上げる。
『・・・っ!私がアクジキングを引き付けます!その隙にルフィさん達は誘惑の森を抜けて下さい』
「何言ってんだユウナ!?」
「そうよ!せっかくここまで逃げて来られたのに!」
ルフィさんとナミさんに説得され私は唇を噛み締める。
背後からは「ドガグイィ!!」と叫びながらこちらに向かって来ているアクジキングの姿が見えた。
「アイツを引き付けてもその後ろからはビッグ・マム海賊団が追いかけて来ている」
「捕まるのも時間の問題じゃ!!」
ペドロさん、ジンベエさんは神妙な面持ちで呟く。
ウルトラボールを持っているから戦い弱らせれば捕まえられる可能性はあるが、そんな事をしている余裕と時間は無い。
どうするかと走りながら考えているが一向にサニー号は見えない。
誘惑の森が私達を惑わし阻んでいるのだ。
その時、ラビヤンの絨毯に乗っているプリンちゃんが声を掛けてきた。
「麦わらの一味!!」
『えっ!?プリンちゃん!シフォンさん!』
「ああ!!プリン!!何だお前おれ達を騙しやがって!!」
「みろ最初にこいつを縛り付けておくべきだった・・・!!」
「やんのか!?」
ルフィさんに怒鳴られ、プリンちゃんは狼狽える。
「や!!やらないわよ!!話を聞きなさいっ!!」
「プリンちゃん無事だったのか!!良かった可愛い君が傷ついてなくて!!」
サンジさんの姿を見たプリンちゃんは目をハートマークにさせて口から泡を吹き出す。
どうやら相当サンジさんにお熱のようだ。
背後からはズシーンズシーンと足音が鳴り響く。
プリンちゃんは慌てて後ろを振り向き、「ママ・・・じゃなぁーい!!?何よあの化け物はっ!!?」と泣きながら叫んだ。
『ウルトラビーストの一種、アクジキングです』
私が答えるとプリンちゃんは「アクジキング?」と頭を傾げた。
そういえば彼女ーーーいや、ビッグマム海賊団にはウルトラビーストについて説明していなかった事を思い出す。
『プリンちゃん!時間が無いの!!何の用事?』
走りながら聞くとプリンちゃんはフフッと怪しい笑みを浮かべて叫んだ。
「無様ね!!あんた達!!!助かりはしないわ!!!船で逃げても無駄!!!ママは海の果てまで追いかけてあんた達を海底に沈める!!!アハハハ」
「何だとこんにゃろ!!」
「違うでしょプリン!何言ってんの!!?」
「違った!!違った!!何言ってんの!?私!!」
「ママは意中のケーキをあんた達が盗んだと思い込んでる!!海を越えても追ってくるわ!!」
『な・・・っ!?』
「「「えェ・・・!?」」」
「そうよだから!!サンジ!!こっちへ来なさい!!仲間達がママに殺される姿を見てこの世の地獄を味わうがいい!!アハハハ!!」
「違うでしょ!?何言ってんの!?」
「違った〜〜〜!!!消え入りたい!!」
シフォンさんに怒鳴られたプリンちゃんは涙を流しながら謝る。
その会話を聞いたルフィさんは「どっか行けお前ら!!」と怒り始めた。
「ちょっと待って違うの!!黒足のサンジ!!あんたお菓子作りも得意だってプリンが言ってた」
「ああ料理に関しちゃ全て一流だ!!」
「OK!!じゃあケーキ作りを手伝って!!唯一ママを止められるケーキを作って・・・!!あんた達を逃がしてあげる!!!ローラの件の恩返し!!やるからには命懸けよ!!」
「ふん!!結果そうなるかもね・・・!!私は違う!!あんた達の為じゃない!!偶然作って食べようと思ったケーキがママの欲するケーキで!!ぐ・・ぐぐ偶然作って食べようと思ったケーキがママの欲するケーキで!!ぐ・・ぐぐ偶然ここを通りかかったらあんた達がいただけだだだからあんたに死んで欲しくなくてわざわざママを止めに来たんじゃないんだからね!!!サンジ!!!さん」
感情の裏返しが凄いプリンちゃんを見たルフィさん達は目を見開き呆然と口を開けていた。
「わかった!ありがてェ!!ケーキはどこで作れる!?」
「ショコラタウンに材料が!!最速でケーキを作って船で運ぶわ!!それでママの目を逸らせる!!そこまで何とか持ちこたえて!!海に出れば前方からも敵は押し寄せる!!あんた達なら耐えきれると信じてるよ!!」
「ああ!!じゃあおれはそっちに!!」
「ままま待ちなさい!誰が乗せてあげるって言ったのよ!!バカっ!!」
「ルフィ!!海上で落ち合うぞ!!」
「頼んだサンジ!!!」
サンジさんがプリンちゃんの乗っている絨毯に乗ると黄色い歓声を上げると後ろからホーミーズを補食しながらこちらに向かってくるアクジキングは大口から破壊光線を放ってきた。
『みんな避けて!!』
「うわぁ!!?」
「「きゃああぁ!!!」」
悲鳴と共に強力な光線が真横を通りすぎ、地面、樹木を破壊し削り取った。
ボコォ・・・オォンッ!!!
凄まじい破壊音と威力に皆が顔を青ざめる。
「ユウナちゃん達!!そっちは壁よ!!」
『えっ!?』
「真っ直ぐ進んどったつもりが」
どうやら誘惑の森に惑わされていたようで慌ててプリンちゃんの誘導する方へと走る。
「こっちよ海岸は!!記憶の糸!!フラッシュバック!!!」
メモメモの実の能力で誘惑の森のホーミーズ達は阻む事を止めた。
「元の魂の持ち主の記憶が一時的に走馬灯のように甦る!!混乱してる間はママの支配下にないわ!今なら森を抜けられるはず!!」
『凄い!これなら』
後ろから追いかけて来るアクジキングも止められるかもしれない。
『プリンちゃん!お願い協力してっ!!』
「・・・え?」
『プリンちゃんの能力でアクジキングの記憶を弄って欲しいの!!』
「えェ!!?イヤよ!!あんな化け物に触りたくないわ!!」
全力で拒否るプリンちゃんに対してシフォンさんは「何言ってるのプリン!!協力してあげなくちゃ!!」と叫ぶ。
同じく絨毯に乗っていたサンジさんも目をハートマークにさせながら「おれが出来ることならなんでもやるよ〜ユウナちゃ〜ん!」と身体をくねらせる。
「ギャー!何で乗ってんのよサンジ!!!さん!降りて泳ぎなさいよバカ!!」
「怒った瞳もキレイだなー」
「ブ・・・ブァカにしないでよね!!」
プリンちゃんに対して私は目を潤ませ『お願いプリンちゃん・・・っ!』と小さく頭を下げると「わ・・・わかったわよっ!!」と了承してくれたのだった。
サンジさんは私の潤んだ瞳を見ると何故か目をハートマークにさせ、鼻血を吹き出し「天使だァ〜〜〜!!!」と叫んでいた。
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