
「みんな急いで!!すぐに追っ手が来るわよ!!」
「お前、ドラゴン(リザードン)に乗ってるだけで偉そうに言うなよ!!」
「いいんだ!ナミさんは可愛いんだから」
私とナミさんはリザードンの背中に乗り、ルフィさん達と共に誘惑の森へと向かっていた。
リザードンの背中には大勢乗れないため、走っているルフィさん達に謝ると「気にしないでユウナちゃ〜〜〜ん!!」とサンジさんは目をハートマークにさせ、身体をくねくねし始める。
その様子を見ていたキャロットちゃんは「あはは」と笑っていた。
『誘惑の森を抜ければ船が見える筈です』
「またあの森を通るのか。大丈夫かな」
「あ!あれ何!?」
ナミさんが指を差す方へと視線を向けると巨大な木々が自我を持ち話していた。
どうやら誘惑の森の主らしい。
「イデデデ」
「大丈夫?キンちゃん」
「キングバーム!生きてたのね!」
「あ」
口髭を生やした巨木のホーミーズを見つけたナミさんは嬉しそうな表情を浮かべてリザードンから飛び降り、キングバームの上に乗る。
ルフィさん達もキングバームの上に乗り始めた為、リザードンにお礼を言ってからモンスターボールに戻し、巨木に乗ると猛スピードで走り始めた。
「覚えてろジュ!!貴様らァ!!イデデデ・・・!!」
「あれ?ナミお前ローラのビブルカード取られなかったか?」
「1枚ね。2枚に切っといたの」
「こりゃ速いのう」
『・・・誘惑の森の主だから森も直進出来る』
小さな声で呟くとナミさんは私に対してウインクをした。
「そうよ!急いでキングバーム!!追い付かれたら縫い目を裂くわよ!!」
「酷いな」
ペドロさんの言葉に私も苦笑いを浮かべる。
その時に神出鬼没のゴーストポケモン、パンプジンとミミッキュは何かに気づいたのか私を守るように囲みシャドーボールを放った。
「オー・・・」
木に一つ目が付き、2本の手と多脚が生えるという樹木の魔物のような魔獣に私は声を上げた。
『オーロット!?』
何故か誘惑の森の主の身体の上にいた(住みついている)ポケモンのオーロットはゴースト/草タイプ。
カロス地方に生息しておりパンプジンと対になっているのが特徴的だ。
パンプジンはオーロットに笑顔で近づくとその様子に気づいたルフィさん達は声を上げた。
「なんだコイツ〜〜〜っ!?」
『ポケモンのオーロットです。自然をとても愛するポケモンで、自分の体や森に住みついているポケモンに対しては親切にする優しい性格ですが反対に森を踏み荒らす人間は非常に嫌っており、根っこを神経の代わりにして周囲の樹木を自由に操る能力を使って森の中に閉じ込め、死ぬまで出られなくしてしまうという恐ろしい一面も持っています』
私のポケモン図鑑の解説のような説明にルフィさんは頭を傾げ、ナミさん達は顔を青ざめた。
「じゃあ私たちは森を荒らしてるから・・・」
「死ぬまで出られなくなっちゃうの〜〜〜っ!!?」
キャロットの叫び声に反応したオーロットは赤い目を光らせ、木の手を前に出し、やどりぎのタネを放ってきた。
「「きゃっ!?」」
「「「うわっ!!!」」」
草の根でルフィさん達の身体を縛り、種を植えた相手の体力を吸収し始めるオーロット。
やはり誘惑の森の主を利用し森を荒らした私たちに怒っているようだ。
たぶん野生のオーロットもウルトラホールに吸い込まれてこちらの世界に来てしまったのだろう。
『オーロット止めて!』
「プジン!」
同じポケモントレーナーであるナオの手持ちポケモン、パンプジンと止めるよう説得するが草タイプの技、ウッドホーンで襲い掛かってきた。
角を突き刺して攻撃をしようとしてくるオーロットに対してパンプジンは火炎放射を放ちオーロットの体力を削った。
草タイプに炎タイプの技は効果抜群だ。
『凄い!パンプジン!』
「プジン!」
私の声にパンプジンは笑顔を見せるとルフィさん達の身体を拘束していたやどりぎのタネが消え、皆はその場に座り込んだ。
「た・・・助かったァ」
「えェ・・・本当に・・・有難うユウナ、パンプジン」
「身体が重いよ〜っ!」
ルフィさん、ナミさん、キャロットさんは私達に礼を言う。
私はパンプジンの技にやられたオーロットに近づくと木の手を振り上げてきた。
それだけ誘惑の森と主であるキングバームが大切なのだろう。
『ごめんなさい・・・オーロット』
貴方の大切な場所を踏み荒らして、破壊してしまった事への謝罪の言葉を述べるとオーロットの威嚇が弱まった。
『大切なんだよね・・・ここが・・・キングバームの事が』
「ジュッ!?」
私達を乗せて誘惑の森を直進に走っているキングバームはこちらに気づいたのか声を上げた。
「オーロッ・・・」
赤い瞳を潤ませて頷くオーロットに私は涙目で微笑むと話を聞いていたナミさんは「あんたモテるのねェ〜」とキングバームの巨木の頭を軽く叩いた。
「イデデデ!何のことジュ!!」
「モッテもて〜っ!!」
ナミさんとキャロットさんにからかわれているキングバームを横目に私は野生のオーロットに手を差し伸ばした。
『・・・私と一緒に来る?』
ここはポケモン達が住む世界では無い。
私なら貴方を元の世界に帰せると誘ったのだが、オーロットは木の手を差し出さずキングバームの巨木に擦りついた。
『そう・・・貴方はここが好きなのね』
「ロット!」
頷くオーロットに対して私は微笑んだ。
無理に捕まえるわけにもいかず差し出した手を引っ込める。
私も誘惑の森・・・
いや、ホールケーキアイランドが大好きだったから。
私のやり取りを聞いていたパンプジンは涙目でオーロットに抱き付いた。
「プジ〜ン」
「オーロッ」
対なる存在同士、どこか惹かれ合い出会ったのだろう。
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