
※オリキャラが登場します。
広大なベッドを覆う白絹のシーツの上に一糸纏わぬ姿で私の身体は逞しい腕に抱きしめられながら横になっていた。
身体には白い毛布が掛けられ目の前にはカタクリ様の顔と今まで隠していた無数の牙が見える。
その牙に触れようと手を伸ばすと、鞄から音が鳴り始めた。
この音はまさか
『ホロキャスター・・・?』
ホロキャスターとは受信したホログラムの映像データをいつでも見ることができ、通信や電話、メッセージなどを送ることができる装置の事だ。
カタクリ様の腕から抜け、白いバスタオルを身体に巻き付け、鞄からホロキャスターを取り出す。番号と名前を見た私は頭を傾げた。
『・・・ナオ?』
何だか聞いたことがあるような無いような。
ぼやける記憶を辿るとツインテの少女(?)の姿を思い出す。
取り敢えず電話に出ようとした瞬間、カタクリ様に声を掛けられた。
「・・・・・知り合いからか?」
『・・・ッ!は、はい。出ても良いですか?』
「あァ」
旦那様から許可を貰い、私はベランダに出て扉を閉める。
一応、話の内容を聞かれないようにするためだ。
ずーっと鳴り続けるホロキャスターに対して眉を寄せる。
ピッと通話ボタンを押すと「やっと出たァ〜!!」と甲高い声が聞こえ耳を塞いだ。
『だ・・・誰ですか?』
恐る恐る聞くと「はぁー?僕だよ僕!ポケモントレーナーのナオだよ!!もーユウナちゃんてば何回も電話したのに出ないんだから!」
『ナオ・・・?ポケモントレーナーなんですかッ!?』
「そうだよ〜・・・何言ってんのユウナちゃん?バカになっちゃったの??」
バカとは失礼な。
電話を切ろうとしたら「冗談だよぉ」と謝ってきたため私は通話を続ける事にした。
『・・・記憶喪失なんです』
「記憶喪失ぅ〜!?可愛くてキュートな僕を忘れたのぉ」
『はい』
頷くとブーブーと言い始めた。やっぱり電話切ろうかな。
「今何処にいるのぉ?」
『・・・ホールケーキアイランドでお世話になっています』
「あぁ!じゃあルフィくん達に会えるね!迎えに行くと思うから警戒しないで大人しくルフィくんと一緒にワノ国に来てねぇ」
『ワノ国・・・』
確か偉大なる航路"新世界"にある世界政府未加盟国の事だ。
他所物を受けつけない鎖国国家として知られ、侍と呼ばれる剣士達の力と立地条件により外敵を一切寄せ付けない強国だが、現在は将軍が四皇カイドウと手を組んだため、カイドウ率いる百獣海賊団の支配下となっているらしい。
「僕とピカチュウちゃんはそこにいるからぁ」
「ピカッ!」
『ピカチュウ!?』
電話口からピカチュウの鳴き声が聞こえて思わず声を上げる。
そうかピカチュウはナオさんの元に居たのか。無事で良かったとホッと息を吐く。
「ユウナちゃんはホールケーキアイランドでビッグマム海賊団に世話になってるわけだね。無事で良かったよぉ」
『・・・あの』
私はホールケーキアイランドにてビッグマム海賊団の傘下に入り、政略結婚をした事を話すとナオさんは笑い出した。
何が面白いのか。
こっちは死ぬ思いをして頑張っているというのに。
『ナオさん、何が可笑しいんですか?』
「呼び捨てで良いよぉ。だってユウナちゃんが結婚って・・・ッ!今の旦那様と愛し合ってるの?好きなの?」
『・・・わからないです』
「ふーん、じゃあユウナちゃんは元いた世界に帰りたくないんだ」
『帰れるの?!』
「うん、たぶん。ウルトラビーストを捕まえてウルトラホールを開けばね。その為にユウナちゃんに協力を求めたんだけど」
結婚して夫婦円満じゃあねぇ。
と言われ私は胸の奥が痛くなる。
カタクリ様と別れてナオの元へ行き協力すればポケモン達だけでも返せるかもしれない。それにウルトラビーストがこの世界に迷い込んでいるのなら捕獲して返さなければ。
私の心は最初から決まっている。
政略結婚に応じたのもポケモン達の身を守る為なのだから。
『貴方に協力します』
「うん!その言葉を待ってたよ。だいたいユウナちゃんが結婚とか似合わないしねぇ。まだ若いんだし自由に生きた方が良いよぉ。僕はユウナちゃんのファンだからねぇ。ユウナちゃんの事なら何でも知ってるよぉ。スリーサイズや好きな食べ物、好みのポケモンとか」
忘れている記憶はナオから聞き出せば良さそうだ。
余計な事まで知りそうだが。
「ユウナちゃんはウルトラホールを通った人間Fallなんだから」
『・・・・・Fall』
ウルトラホールを通った人間のことを国際警察はFallと呼んでいる。
これは、Fallにウルトラビーストが引き寄せられ、攻撃的になるためである。
ウルトラホールを通る際に浴びたエネルギーによって、別のウルトラホールと勘違いしたウルトラビーストの帰巣本能によるものと推測していると云われている。
「ウルトラビースト捕獲用のウルトラボールはミミッキュとシャンデラから貰ってねぇ」
成る程、私がここにいればウルトラビーストが現れる可能性があるからか。
だけど
『ミミッキュ?シャンデラ?』
頭を傾げると「キュキュ」と鳴き声が聞こえる。
顔を上げると宙に浮いているポケモンのミミッキュとシャンデラの姿があった。
この短時間にワノ国から来たというのだろうか。
もしそうならば、ワノ国からホールケーキアイランドはさほど離れていないということになる。
『ナオのポケモン?』
「ミミッキュはねぇ。シャンデラはパキラ様のポケモンだよぉ」
ミミッキュ、シャンデラ共にゴーストタイプだ。
宙を浮き、建物をすり抜け何処へでも移動できる。
『パキラ様・・・』
その名前に聞き覚えがある。
カロス地方ポケモンリーグの「火炎の間」にいる四天王で、ほのおタイプの使い手の女性だ。
『彼女もこの世界に・・・?』
「うん!僕の上司なのぉ。詳しいことはワノ国に来てからね!じゃあ、待ってるからぁ〜」
ガチャと一方的に切られた電話に対して私は大きく溜め息を吐くと「ギュウィーン」とシャンデラが鳴き、私にウルトラボールを渡してきた。
『有難うシャンデラ』
ゴースト、炎タイプのシャンデラ。
ランプラーやヒトモシと同じく人間の魂が好物であり、その炎で焼き殺されると魂を奪われてしまうという。
また、奪われなかったとしても成仏出来なくなり永遠にこの世をさまよい続ける事になるという、恐ろしいポケモンだ。
確か四天王パキラさんの手持ちはポケモンは
カエンジシ、コータス、シャンデラ、ファイアローだったはずだ。
カロス地方のアナウンサーも兼ねており、ホロキャスターでニュースをお知らせする人でもある。
性格は炎使いのイメージとは真逆に、どこかクールで冷たい印象を受ける。
ようやく帰れる方法が見つかった。
ナオが言っていた。
ルフィさん達が迎えに来てくれると。
私はホロキャスターを握り、部屋へと戻った。
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