
ペドロさんとブルックさんの作戦通りに私は宝物の間の扉を開き、慌ててタマゴ男爵に駆け寄る。
元プラズマ団幹部として潜入調査や窃盗強奪をした事があるから今回の盗みにも自信があった。
「何事でソワール」
『城内にて不審者を見かけましたっ!』
「どんなヤツをだったポン!?」
『・・・ジャガーのミンク族でした』
「ペドロやはり城へ侵入していたか」
その話を聞いていた将星スムージー様が椅子から立ち上がり「扉を開けろ」と兵士に言った。
「お・・・お・・お待ち下さいスムージー様!」
タマゴ男爵は必死にスムージー様を呼び止める。
「私は警備の為に呼ばれたのだろう?」
「で・・・ですが」
「外の方が面白そうだ」
「えー!?お待ち下さい」
数十名の部下を連れて宝物の間を出る。
その瞬間、城内から爆発音が響き渡った。
ペドロさんが爆薬を投げ、暴れ始めたのだろう。
宝物の間から出たのを確認して、物陰に隠れていたブルックさんを呼び、扉を閉め鍵を掛ける。
中にまだ数名の兵士がいたが、将星とタマゴ男爵さえいなければこちらのものだ。
「流石ですユウナさん」
ブルックさんの言葉に私は微笑んだ。
私は鞄からモンスターボールを取り出し宙に投げる。
『出て来てメタグロス!』
「メタ!!」
モンスターボールから出て来たメタグロスに技の指示をする。
『サイコキネシス!』
「メタ」
強力な念動力で兵士達の動きを止め、歴史の本文の石がある鉄の檻をねじ曲げる。
ブルックさんはどこからかギターを取り出し、動きが止まっている兵士達の前で演奏を始めた。
「聞いてますよペドロさんから。チェス兵士さん達・・・・・ビッグマムの能力で・・・人の魂を入れられた兵達。魂で動くんですよね。私の異名・・・知らねェだろ!!?BABY!魂・・・王だぜ!!!」
『凄い・・・!』
魂を抜かれた兵士達が次々と倒れていく。
その光景を見た私は思わず感嘆の声を漏らす。
「取ってつけた様な魂が・・・私の執念の魂の叫びの前に!!立ってられる筈ないんだぜ!!!私・・・相棒に死に目に会ってくれと頼んでここへ来たんですからねェ!!得る物得なくちゃあ!!!面目丸潰れでしょうがァ!!!」
ブルックさんは次々と兵士達を斬り刻み倒していく。
圧倒的な強さの前に思わず見いってしまっており、慌てて赤い石の写しを取り始める。
巨大な石。
触れると石の冷たさを感じる。
メタグロスに協力してもらい墨を掛けて紙に写す。
それを三個分行うとブルックさんに声を掛けた。
『写し終わりました!』
「では私の頭部の中にその紙を入れてください」
『えェ!?』
ブルックさんは帽子を取り、骸骨の頭部を開けた。
思わず声をあげてしまう。
恐る恐る紙を中へと入れると「捕まったとしても写しの紙は見つからないでしょう」とブルックさんは微笑んだ。
その時、地響きと共に宝物の前の扉が破壊された。
あの頑丈な扉を壊せる人間などそうはいない。
『・・・・・ビッグマム!!』
「誰だい!!?おれのお楽しみに手をかける身の程知らずはァ!!!」
「え・・・!!ま・・・!!まさか・・・!!!」
「おや?これは珍しい生物!それにおれの優秀な部下のユウナじゃないかァ」
『・・・っ!逃げてくださいブルックさん』
「え・・・!?そんな!出来ませんよ!!!ユウナさんを置いてだなんて!!」
『私なら・・・大丈夫です。ポケモン達が一緒なので』
ブルックさんの優しさに触れて泣きそうになってしまう。
私には優しくて頼りになる素敵な仲間達がいる。
精一杯微笑むと、私は目の前の敵を睨み付けた。
「マママママ・・・おれと殺ろうってのかい?」
『私達が相手だビッグマム!鋼鉄の鎧を身に纏え!メタグロスメガシンカ!!』
私は腕にはめている虹色に輝く石がはめ込まれたメガバングルを翳し、メタグロスの足にかけていたメガストーンとリンクさせる。
空中に虹色の石と同じ紋章が浮かび上がり、メタグロスの身体は光に包まれ姿を変えた。
―――メガメタグロス。
メタグロス、メタング、ダンバル2匹の計4匹が、サイコパワーによって合体した姿が変化した。さらなる合体により個々の脳が並列的に情報の収集・処理を行う結果、元のメタグロスの比では無いほどの賢さを得た。
『サイコキネシス!』
「メタ!!」
強力な念動力でビッグマムの動きを止めてから大技を繰り出す。
『破壊光線!!』
強大な光の束を打ち出すと、ドオオオンッ!!!と爆発音が響き渡る。
宝物の間は破壊され瓦礫と化したが歴史の本文の石は無事のようだ。
どんな攻撃にも耐えるというのは本当のようだ。
「やりましたね!ユウナさん!」
フラグを言わないで下さいブルックさん!?
と言おうとした瞬間、巨大な炎が襲いかかってきた。
「天上の(ヘンブリー)・・・火ァ〜〜〜(ファイア)!!!」
「メタッ!」
メガメタグロスに対してプロメテウスを掴んだ状態で殴ると同時に叩きつけることで、拳が命中した場所に広範囲の炎を発生させる。
鋼タイプであるメタグロスは炎に弱い。
直撃を喰らったメタグロスは壁に叩きつけられ気を失ってしまった。
『メタグロス・・・!!』
慌ててモンスターボールに戻すと「雷霆(ライテイ)」とビッグマムの声が聞こえてきたと同時にブルックさんに身体を掴まれた。
「ユウナさん・・・!!」
『ーーーっ!』
ゼウスを掴んで殴りつけつつ、叩き付けたゼウスが発する雷撃で敵を粉砕する技だ。
ブルックさんに庇われたが、私の身体にも電流が走った。
声を上げてその場に倒れ込む。
ビッグマムの不気味な笑い声が宝物の間に木霊した。
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