天候が荒れている。
空を見上げるとプロメテウス様とゼウス様が暴れていた。

城へ戻るとクラッカー様の仇討ちの軍団が編成されたと騒ぎになっていた。
どうやら麦わらのルフィさんを捜して討ち取りに行く様だ。


その軍団を見た私は顔を青ざめていると、ガレット様に肩を叩かれ思わず肩を揺らす。

『・・・ガレット様』

カールした髪に悪魔のような角が特徴的で赤いミニスカワンピースを着用し、フサフサなコートを羽織っている女性だ。

「ユウナ・・・貴方は部屋に戻ってなさい」


ーーールフィさん達を殺さないで。


そんな事を言ったら私の記憶が戻り始めていることを教えるようなものだ。
怒り狂っている彼女達に私の言葉が届くはずもない。
それにここで私が捕まってしまったら歴史の本文の写しを手に入れるチャンスを失ってしまう。


震える唇を噛み締め、小さく頷くとガレット様達は軍団を連れて城を出た。

始末屋ボビン。
鬼夫人アマンド。
書司モンドール。

総合懸賞金は強さはどれ程のものなのか。

だけど、信じるしかない。
ルフィさんは3将星のクラッカー様を撃ち破ったのだから。


急いで部屋に戻り、服を脱いで浴室に入る。
水飴に濡れたベタベタの身体を冷たい水で頭から掛けた。


ーーープリンちゃんの新郎様がルフィさんの仲間?知ってて私に黙ってたんだ。

涙が頬を伝う。
浴室にある鏡に視線をやると鏡の中の自分がじっとこちらを見つめていた。


白色のレースが付いたオフショルダーのトップスに水色のデニムの短パンを履き、腕にメガリングを付け、イーブイに運んでもらった写し用の紙と墨を持ち、4階にある宝物庫へ身を潜めながら向かう。


陽は暮れ、窓の外を見ると未だに雷雨が鳴りやまない。


宝物庫の扉の前に着くと中からタマゴ男爵とスイート3将星の一人、シャーロット・スムージー様の声が聞こえてきた。

シャーロット・スムージー様。
ロングヘアーに衣装はストライプ柄のハイレグレオタードと帽子を身に着けており、足がすらりと長いのが特徴的な女性だ。

シボシボの実の能力者で、触れたものを雑巾のように絞ることで、対象物から水分を抜き取る事が出来る脱水人間。


同じ3将星のクラッカー様より高い懸賞金から、かなりの猛者であることが窺える。

「大切なのはわかっているが・・・・・なぜ今急に警備を強化したのだタマゴ・・・!!茶会までヒマだ。警備に付き合うのは構わぬが・・・・・」

「ーーーえぇ恩にきるでルネサンス。5年ほど前この島に現れた元海賊船長ミンク族の歴史の本文泥棒がどうやら今・・・再びこの島に潜入してスフレ・・・当時ペコムズの嘆願で命を拾った男が・・・・・なぜまた挑むのかペドロ!!!ーーーとかく赤い石ロード歴史の本文は言わば海賊王への道っ!!!四皇同士が奪い合うレベルの代物なのだボン。我々はママの為に命を賭してこの切り札を守りきるでショコラ!!」


扉から聞き耳を立てタマゴ男爵の会話を聞いていると「ーーーもしやユウナさんですか?」と言われビクッと身体を揺らした。


ーーー気配を感じなかった


一体誰が私の名前を呼んだのだろう。
恐る恐る顔を後ろに向けると骸骨の幽霊がにっこりと微笑んだ。
ゴーストタイプのポケモンかと思ったが、違う。
ここはポケモンの住む世界ではないのだから。

『ーーーっ!』

叫びそうになった口元を塞ぎ顔を青ざめていると「ユウナさん!何故ここに!?いやー会えて良かったです。ささ、こちらへ」

『・・・・・え?』

骸骨の幽霊は私を宝物の間の傍にある酒貯蔵庫へ案内する。


ーーー着いて行ってもいいのだろうか?


不安に思いながら、案内された酒貯蔵庫に入ると壁にもたれ掛かっているヒョウと長身の骸骨の姿があった。

「ヨホホホ!ユウナさーん!!無事で良かったです!パンツ見せて下さい」

「・・・お前が魔獣使いか」

アフロの骸骨さんは目がないのに泣きながら私の両手を握って来たため思わず恐怖から声を上げそうになった。

『・・・は・・初めまして』

「え?・・・私ですよ?ブルックです!ヨホホホ」

『ブルックさん・・・?』

頭を傾げるとブルックさんは「ええええ!?」と叫ぶと隣にいたヒョウさんは慌てて口を塞いだ。

「静かにしろ!」

「・・・すみませんペドロさん。あのユウナさん・・・もしや記憶が」

『はい・・・記憶喪失なんです』

「そんなっ!ルフィさんやナミさん、サンジさんのこともですか?」

『えっと・・・ルフィさんの事なら話には聞いたんですが』

私はブルックさん、ペドロさんにビッグマム海賊団に助けてもらい、ここに住まわせてもらっていることを話すとブルックさんは泣きながら私を抱き締めた。


「ユウナさん一緒にルフィさんの元へ帰りましょう!」

『・・・良いんですか?』

「勿論ですよ!」

ブルックさんの言葉を聞き、目に涙を浮かべながら微笑んだ。

「ポケモンちゃん達は無事ですか?」

『はい、元気にしています』

「・・・事情は分かったが戻る前にやることがあるだろう」

「そうでした・・・我々サンジさんを助けに来たんです」

『知ってます。私も助けたいです!でもその前に宝物の間にあるロード歴史の本文を手に入れようと考えてここへ来たんですが、将星スムージー様とタマゴ男爵、大勢の部下がいまして』

「将星!?大幹部の事だ・・・!!絶望的だ。いよいよもって完璧な警備・・・・・!!夜間にも一瞬のスキもない・・・!!」

「私先日のペドロさんの話感動しました。ルフィさんが海賊王になる為にはロード歴史の本文はいつか必ず必要になる石ーーーしかしまたここへ来るのはきっと至難の業です・・・・・!!むしろ本気で来ようとする程正面から戦う事になり・・・・・とてもみんなでここへ辿り着くことはできない・・・!!今は類いまれなるチャンスなのかも知れない」

「だが切り込めば三人共死ぬ・・・!!」

「タマゴ男爵の狙いは?」

「・・・・・おれだな」

「ペドロさん囮になってくれませんか?」

「ーーーおれもちょうどそれを考えてた」

『危険では・・・?』

「危険は承知の上だ。お前さんもそのつもりでここへ来たのだろう」


ペドロさんの言葉に頷く。
盗みを失敗し、捕まればビッグマムに殺されるだろう。
だけど少しでもルフィさんのお役に立ちたいから。


『私がスムージー様とタマゴ男爵達を部屋の外へ出します』

一応家族となった私なら彼女らも信頼して着いてきてくれるだろう。

「怪しいヤツを見たと言え。奴らを宝物庫から出したらおれが爆弾を投げる」


ペドロさんは私にマントに隠してあるダイナマイトを見せる。
準備万端のようだ。

「ではその隙に私が宝物庫に侵入者します」

私は持っていた写し用の紙と墨をブルックさんに渡すと「ヨホホホ!有難うございますユウナさん」と微笑んだ。

「失敗は許されないーーー行くぞ」

「『はい』」


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